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現代っ子のくちゅくちゅ 「銃」 中村 文則

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銃 (河出文庫)クリエーター情報なし河出書房新社

中村文則さんの二冊目

一冊目に読んだのが 同じ系の「遮光」でした
乗り越えられないなら振りだけでいい「遮光」中村文則

同じ系とゆーのは 若者の心とゆーか頭の中のくちゅくちゅの状況のお話
こーゆー くちゅくちゅはヤングな皆さんなら誰にでもあるくちゅくちゅ
勿論 僕もヤングな頃はくちゅくちゅしとりましたで
で 僕らがヤングな頃のくちゅくちゅのバイブルゆーんは
太宰治さんやらカミユさんやら安部公房さんやら三島由紀夫さんやらのくちゅくちゅがありました
でも今の現代っ子はそーゆーんは古い基軸になるんでしょうな

それで 現代っ子版のくちゅくちゅの規範が こーゆー中村文則さんの初期に書かれたもんがそれにあたるのやもしれません
内容の方は オールドウェイブな我々の時代のくちゅくちゅとは そないな変化はございません
人間とゆー種は そーゆー思春期な時代には そーゆーくちゅくちゅなことを思いがちなんでしょう
自分はもう若くはないので そーゆーくちゅくちゅは「そーいえば 昔はこーゆー感覚があったよーな気がする」としか思いませんので
あくまでも その表層 文体やら言葉使いやら新しい単語で説明されてあるくちゅくちゅを確認する作業のみとなります
同意はいたしかねます それが世代ギャップです仕方アリマセン

で「銃」
ピストルを拾ったくちゅくちゅした現代っ子は どーするんか?とゆーお話
主役の子は 幼少の頃 育てられ方に弱冠の問題があるためか よく乖離されておられます
でも「遮光」の子ほどの乖離はありません 虚言癖ゆーのも「遮光」みたいに如実には出ておりません
そーゆーんがテーマじゃないようです でも乖離はあります
女性関係 友人関係は そんな感じで乖離しながらのお付き合いとゆーんですか
あとは猫殺しの後、刑事さんが出てきてコロンボのよーに弱冠の追い込みを立てられたりしますところが弱冠のサスペンスドキドキ所
で やっぱしそのままぐずぐずで低空飛行して終わるのも盛り上がりに欠けるので
電車の中で 鬱陶しいおっさんを射殺いたしましてハッピーエンドとなるわけです

新機軸はありません アマゾン評でもありましたが 言い回しのわりに心理描写が軽いようです
とゆーか 表紙が漫画とゆーかわかりやすいイラストなのでナメラレル気がします
表紙を替えると印象がだいぶ変わる気がするんですが
僕はドストエフスキーなんかは面倒くさいので 素通りしてしまいました
この「銃」は もうちょっとわかりやすい現代語で書かれていますが 時々メンドクサイことをくちゅくちゅ書かれてあるので
そこは飛ばしてしまいました ごめんなさい


Friction - Pistol


芥川賞第128回選評の概要

黒井千次 「翻訳調の文章が粗雑ではあるものの、拳銃を拾った若者の心理の変化を追い続ける粘りに結末まで引きずられた。」「刑事の描き方など欠点はあるが、書きたいことが咽喉まで詰まっている切迫感は伝わって来る。受賞作としては推せなかったが今後への手応えを覚えた。」

三浦哲郎  「読みはじめてすぐカミユの「異邦人」という小説の冒頭を思い出した。」「途中で全く別種の作品だと気づいたが、それでも最後まで読み通したのは、作者の強引ともいえる筆力とまだ残っていた胸のときめきに引かれてのことである。」「彼(引用者注:主人公)は、その拳銃と共に破滅の道を辿ることになるのだが、何よりの不満は、その破滅の過程がすべて読者の予想の域を出なかったことである。」

宮本輝 「最後まで読ませる力を持っている。」「一丁の拳銃がひとりの青年の思考や行動を魔物のように支配していくという筋立(引用者中略)を中村氏独自の文学世界へと深めるには、銃を手にした主人公と、そうでないときの主人公とのあいだに、歴然とした断層が形成されなくてはならない。この作品にはそれがなかった。」

古井由吉   「新人の力のこもった作であり、私は惹かれた」「意識の構築物と呼ぶべき作品である。主人公の意識と無意識との境まで分け入りはする。」「ある段階での意識が破れかかると、不可解な行動が表われて、次の段階へ移る。そうやって踏みあがっていく足取りは感じ取れる。」「しかし読み了えて、力作には感じるが、全体として同じ「騒動」の繰り返しであったような印象を否めないのはどうしたことか。」

高樹のぶ子 「二作(引用者注:「しょっぱいドライブ」と「銃」)に○をつけた」「賛成票が集まれば、受賞作として推したいと思ったが、叶わなかった。これは銃に対する男の意識がテーマになっている。」「深読みすれば、核を持った人間の心理も想起させる。文章のドライブ感に才能を感じたのだが。」

石原慎太郎 「候補作の中で唯一つ(引用者中略)最後まで面白く読んだ。」「非日常性の象徴ともいえる凶器によって主人公の生活に今まで存在しなかった、緊張と孤独さをともなった新しい生活のリズムのようなものが生まれてくる。」「ただ最後の、実際に電車の中で見知らぬ男を射殺してしまうエンディングはいかにも通俗、ありきたりでしかない。しかしこの作家の力量、というよりもそれ以前の、最後までドライブがかかり通すエネルギーは貴重」

河野多恵子 「後半、殊に警察から調べにくるところから先になると、私は全く失望した。ただし、拾った拳銃――あるいは盗んだことになるかもしれない拳銃を身近かにもつようになってからの主人公の意識・気分のあれこれは鮮やかに伝わってきて、そこには作者の資質が感じられた。」

池澤夏樹 「銃というものを持つことによる偽の自信について普通に想像できる筋道をなぞっただけ。本当はこの先でもう一つ逸脱が欲しいのだ。」

選評出典:『文藝春秋』平成15年/2003年3月号


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