年金支給開始年齢引き上げ検討…政府の国民会議
政府の社会保障制度改革国民会議(会長・清家篤慶応義塾長)は3日、首相官邸で会合を開き、
現在65歳となっている年金の支給開始年齢について、働く意欲のある高齢者の雇用対策を進めたうえで、引き上げを検討すべきとの認識で一致した。
会合後、清家会長は「年金制度の持続可能性の強化のためには、支給開始年齢の引き上げも当然議論の対象にしなければならない」と述べた。
会合では、年金額を保険料などでまかなえる範囲内に抑える「マクロ経済スライド」という仕組みを早期に機能させる必要性でも一致。
賃金や物価が下がった場合は発動させないルールを設けているため、デフレ経済下でも機能させる方向で引き続き議論する。
(2013年6月3日 読売新聞)
国民会議:社会保障4分野の議論が一巡
政府の社会保障制度改革国民会議(会長・清家篤慶応義塾長)は3日、年金を取り上げ、ようやく社会保障4分野(医療、介護、子育て、年金)の議論が一巡した。
国民会議は法律上の設置期限(8月21日)まで残り80日。
3日は「支給開始年齢の引き上げ」など論点を整理したものの、昨年11月の初会合以来13回の会議を重ねても、見えてきた「改革像」は限られている。
年金改革などを巡って自民、公明両党と民主党間の溝が埋まらず、国民会議に政党の意向を反映させる目的の3党協議が機能不全を起こしているためだ。
3日の国民会議も現行制度枠内での議論が目立った。
足踏み状態の3党協議が背景にある。
5月31日の協議も、民主党は最低保障年金の創設など同党案を国民会議で議論するよう求め、自民党が断るという堂々巡り。出席者からは「毎回、同じ繰り返し」とのぼやきが漏れた。
国民会議側もいらだちを隠さず、清家会長は5月17日の会議後、「(3党は)合意に向けて進んでいるふうでもない」と批判した。
それでも、同日の会議で甘利明・税と社会保障の一体改革担当相が「無理やりどこかの党の考え方に一本化するのは難しい」と民主党をあてこすれば、
同党の会合で長妻昭元厚生労働相は「3党協議があるから民主党案を国民会議で議論してはいけないことはない」と反論してみせた。
国民会議には、消費増税に見合う社会保障制度改革が期待されている。
ただ、増税の実現を優先し与野党の社会保障分野の対立点を先送りして設置したため、3党協議が始まると自公と民主は再び衝突した。
民主は独自の年金改革案や後期高齢者医療制度の廃止にこだわり、自公は「抜本改革を前提としていない」(安倍晋三首相)とはねつけるばかり。
衆院定数の0増5減法案を巡る対立もあって4月4日を最後に中断し、5月16日に再開したが、参院選が7月21日に迫る中、双方の反目は強まる一方だ。
民主党から年金問題を攻撃されて野党に転落した自民党にとり、参院選では「社会保障の争点化は避けたい」(幹部)のが本音。
給付カットなど痛みを伴う案は選挙後に先送りする意向だ。しかし、参院選後なら国民会議の「余命」は1カ月を切る。
(毎日新聞 2013年06月03日)
社会保障制度改革国民会議
平成25年6月3日 第13回社会保障制度改革国民会議の資料
資料1 これまでの国民会議における議論の整理(年金分野)(案)
資料2 伊藤委員 提出資料
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