「つけびして」貼り紙、容疑者が明かした意味は
山口県周南市金峰(みたけ)の集落で5人の遺体が見つかった連続殺人・放火事件で、被害者の1人に対する殺人と非現住建造物等放火容疑で逮捕された無職保見光成(ほみこうせい)容疑者(63)の弁護人2人が31日、山口市で記者会見した。
保見容疑者は、被害者や遺族に対して「申し訳ない気持ちはあるんだ」と語る一方、過去に被害者との間で様々な出来事があったと話しているといい、両弁護士は具体的に何があったのか聞いている段階という。
また、保見容疑者は身柄を確保された山中で自殺するつもりで、自宅からロープを持って外に出たといい、5日間の潜伏生活の一端も明らかにした。
会見したのは、国選弁護人に選任された山口県弁護士会の山田貴之、沖本浩(ゆたか)両弁護士。26日の逮捕後、保見容疑者に毎日接見しているという。
5人が殺害された事件は7月21日から22日にかけて発生。両弁護士によると、保見容疑者は事件の前、「木の棒のようなものを持って家を出た」と説明。自殺するつもりで大量の睡眠薬と首をつるためのロープも持ち出していた。
保見容疑者は事件後、「誰にも見つからない山の中で死のう」と考えて山中をさまよい、食べ物は何も口にせず、26日に捜索中の警察官に発見されるまで沢の水を飲んで過ごしていた。途中で自殺を図ったが、死ねなかったという。
保見容疑者の自宅窓にあった「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」と書かれた貼り紙は、9年ほど前に書いて掲げたという。「つけびして」は、集落内で自分への悪いうわさを流すという意味、「田舎者」は集落の人を指したつもりだったと説明。周囲の人の反応を知りたかったとし、「自分の中に抱え込んだ気持ちを知ってほしかった」などと話しているという。
(8月1日 読売新聞)
「悪いうわさ、頭にきた」=保見容疑者、不満繰り返す−5人殺害事件・山口県警
山口県周南市金峰の集落で男女5人が殺害された事件で、殺人と非現住建造物等放火容疑で逮捕された保見光成容疑者(63)が「悪いうわさを流されて頭にきた」などと供述していることが31日、捜査関係者への取材で分かった。県警周南署捜査本部は、保見容疑者が近隣住民とトラブルを抱えていた可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、保見容疑者はこれまでの取り調べに「犬のふんの処理について注意された」「悪口を言われた」などと被害者への不満を訴える趣旨の供述を繰り返しているという。
保見容疑者は2011年の元日、同署を訪れ「悪口を言われ、孤立している」などと相談。自宅には周辺住民への不満や自身の心情が書かれた張り紙があったことが分かっている。
保見容疑者は、被害者5人のうち、同容疑者方隣の山本ミヤ子さん(79)を21日ごろ殺害し、自宅に放火したとして逮捕された。
容疑を認め、「他の件も自分がやりました」「木の棒で殴って殺した」とも話しているという。5人はいずれも鈍器のようなもので頭を執拗(しつよう)に殴られており、捜査本部は凶器の特定や詳しい動機の解明を急いでいる。
(2013/07/31-時事ドットコム)