ユスリカ(揺蚊)
ハエ目(双翅目)・糸角亜目・ユスリカ科(Chironomidae)
山代温泉に害虫大量発生 排水原因か
加賀市山代温泉で今冬、害虫「ユスリカ」が大量発生し、温泉街の商店関係者は対応に手を焼いている。
体長わずか数ミリで、店内へ侵入してくる上、入口付近に群がる様は景観上好ましくなく、観光客からの苦情も多い。
下水道未加入の旅館から流れてくる温泉の排水路が発生源とみられる。
地元の山代区長会などは17日、旅館の下水道加入を促進するよう市に要望することを決めた。
地元住民によると、ユスリカは毎年冬と夏に多く発生しているが、今冬は例年になく大量発生している。
温かい温泉排水が流れる側溝に多く、排水路を覆う鉄板の裏にはびっしりとユスリカが張り付いている。
温泉街近くのアパートの外壁や飲食店ののれんにも止まっており、
アパート経営の畠中誠さん(44)は「これでは入居希望者がいても住みたがらない」と困り顔だ。
居酒屋を経営する辻次康さん(54)は「店内に何十匹も入ってきて商売にならない。閉店時間を早めた時もある」としている。
コンビニ店長の福嶋満さん(60)は「毎朝、自動ドアに張り付くユスリカを払うことから始まる」とうんざりした表情を浮かべる。
観光客からも「汚い」「どうにかしてほしい」との声が相次いでいる。
さらに、ユスリカは花粉症に似たアレルギー性鼻炎を引き起こすとされており、温泉街の問題となっていた。
こうした状況を受け、山代区長会と山代温泉まちづくり推進協議会は17日、会合を開き、
旅館の温泉排水を下水道に流すよう市に要望書を提出することを決定した。
同市によると、山代温泉の旅館の下水道加入率は43%となっている。
定期的な薬剤散布などで対策を施しているが、その場しのぎの効果しかなく、
「これまでも公共下水道に加入するよう未加入の旅館に求めていたが、強制力はなく、判断は各旅館に任せていた」(環境課)としている。
同温泉旅館協同組合の吉田眞啓理事長(吉田屋山王閣社長)は「下水道加入率を上げるよう要望が来たら組合員と協議したい」と話した。
下水道に加入している旅館「瑠璃光(るりこう)」の萬谷正幸社長は「温泉水をそのまま側溝に流すのは問題があるが、経済的な理由で下水道に加入していない旅館が多いのではないか」と指摘している。
北國新聞社 12月18日(水)
小粋なムシはユスリカ




