高知・室戸岬の定置網に深海魚「ホテイエソ」105匹!
高知県・室戸岬沖の定置 網に22日、生態がほとんど分かっていない深海魚「ホテイエソ」が105匹入り込んでいるのが見つかり、う ち1匹は生きた状態で捕獲された。21日にも9匹見つかったばかりで、専門家は「海に何らかの異変があったのでは」と 指摘。今年に入り、各地でダイオウイカなど深海生物の捕獲が相次いでいるがいずれも原因は不明で、生態同様に謎が深まるばかりだ。
室戸岬沖付近の海洋生物の生態を調べているNPO法人「日本ウミガメ協議会」(大阪)によると、網は地元漁師が沖合約2キロ、深さ約70メートル付近に仕掛けた。ホテイエソの体長は10〜25センチくらい。網から引き上げられた際の急激な水温や水圧の変化によって、生き残っていたのは105匹のうち1匹だけだった。協議会が保管しているが、だいぶ弱っているという。
ホテイエソの棲息域は定置網より50メートル以上深い水深120〜800メートルの範囲。黒い体に鋭い歯を見せて「ニタ〜」と笑ったような顔が特徴的で下顎のひげの先には発光器が付いている。
室戸沖で年に数匹程度は網にかかるが、21日に9匹が一挙に捕獲され、協議会は「貴重な標本」と大歓迎。ところが、翌日になんと10倍超の105匹が捕獲され、一転して不気味な雰囲気に包まれた。協議会の室戸基地研究員の渡辺紗綾さん(30)は「ここまで大量な数は記録にない。海の流れや水温に特に変化がなかったので、むしろ怖い」と謎めく現象に不安を隠せない
日本近海では今年に入り、ダイオウイカ、リュウグウノツカイ、メガマウスなど生態が謎に包まれた深海の生物が相次いで見つかっている。室戸岬でも昨夏、ツラナガコビトザメ78匹が一気に水揚げされ話題になった。
深海魚に関する著作がある北海道大学の尼岡邦夫名誉教授(魚類学)は「深海魚は波の動きや水温の変化に敏感。棲息域に何らかの異変があり、異常な動きをしたのかもしれない」と話した。“大漁”現象について、専門家の間では海水温の影響があるとみられているが、原因は不明。文字通り水面下で謎が深まっている。
(2014年4月23日 スポニチ)
ワニトカゲギス目
ホテイエソ亜科
Melanostomiinae16属180種。
鱗がない。
背鰭は腹鰭より後方に始まり、臀鰭と対在する。
本亜科はホテイエソ科 Melanostomiidae として分類されることもある。
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