STAP問題 理研改革委、厳しく批判「世界の三大不正の一つ」と認識
「ずさん」。
STAP(スタップ)細胞の論文不正問題で、理化学研究所の改革委員会は12日、そんな厳しい言葉で突き放し、
小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が所属する発生・再生科学総合研究センター(神戸市)を批判した。
組織のトップは「責任は大きい」と反省の姿勢を見せたものの、
世界的な研究機関への厳しい視線は、事態の大きさと深刻さを如実に物語っていた。
改革委の岸輝雄委員長(74)は会見冒頭、
STAP論文の不正問題について欧州の友人から「世界の三大不正の一つとして認識されてきた」と言われたことを紹介。
問題が、2000年代に起きた米ベル研究所での高温超電導研究に関する論文捏造(ねつぞう)や、
ソウル大教授の胚性幹細胞(ES細胞)研究に関する捏造と並ぶ科学界の不正事件と受け止められていると切り出した。
穏やかな口調ながら、岸委員長の説明は厳しい内容だった。
小保方氏の研究データの記録・管理を「きわめてずさん」と指摘。
論文作成を指導した笹井芳樹副センター長(52)に関しても、小保方氏の経験不足を認識しながら、
「小保方氏の過去のデータを批判的に再検討・再検証することなく信用し、多くの誤りを見逃した」と断罪した。
報告書はセンターのトップである竹市雅俊センター長(70)にも言及した。
小保方氏について笹井氏と同様の認識がありながら、
データの記録や管理について「確認・指導を行う責務を実施していないばかりか、
そのような責務を負っていることを認識さえしていないことをうかがわせる」と批判した。
会見で「ずさん」という単語が何度も飛び出し、
岸委員長はセンターについて「ここまでのことが起きたときは解体して出直すことが要求される」と提言。
改革委の厳しい目は理研本体にもおよび、
ガバナンス(統治)体制の変更や外部有識者のみの調査・改革監視委員会の設置を求めたが、
岸委員長は理研の野依(のより)良治理事長(75)の責任について、
「自分で(進退を)考えると思う」と話した。
ほかの委員からも厳しい意見が上がった。
竹岡八重子委員は「国民の信頼があってこそ、研究に国費を投じることが許されることを、もう一度理解してもらいたい」。
理研に対する社会の厳しい目が今も続いていることを念押しした。
(産経新聞 6月13日)
【STAP細胞問題 】「幕引き急いでいる」 理研の姿勢、厳しく批判
研究不正の原因究明に時間をかけることなく幕引きを急いでいる感がある―。
外部有識者でつくる改革委員会は、STAP論文問題に対するこれまでの理化学研究所の姿勢を厳しく批判、
不正行為の温床となった発生・再生科学総合研究センター(神戸市)を解体して出直すよう求めた。
▽三大不正
「世界の(科学研究の)三大不正の一つと海外の研究者仲間からメールをもらった」。
改革委の岸輝雄委員長は提言内容を報告する記者会見で、STAP細胞の問題が、
2000年代に起きた米ベル研究所での高温超電導研究に関する論文捏造(ねつぞう)や、
ソウル大教授の胚性幹細胞(ES細胞)研究に関する捏造と並ぶ科学界の不正事件と受け止められていると切り出した。
理研はこれまで、内部の調査委員会で小保方晴子氏の論文の6項目の疑惑だけを調べ、
画像の捏造など2項目について不正と認定し、論文の取り下げを勧告していた。
STAP細胞の再現実験には取り組んでいるが、残された実験材料の検証には手を付けなかった。
こうした対応について、改革委は
「小保方チームはSTAP細胞を完成していたのか、それとも研究成果の捏造であるのかを究明をする姿勢がほとんど見られない」と批判。
「研究不正が見つかりそうになったら論文を取り下げてしまえばよいことを理研が 自ら認めることになりかねない」と指摘した。
▽裏切り
問題が発覚してから約4カ月。実験に使われたマウスは染色体異常のため生まれるはずがないなどの 疑惑が相次ぎ、
いまだに問題を引きずっている。
委員の一人は「科学に対する国民の信頼を裏切っている。信頼される理研としてよみがえってほしい」と
提言内容を徹底して実施するように求めた。
小保方氏のデータ管理は極めてずさんで、実験の検証を不可能とするものだと 述べ、実験ノートは質、量とも貧弱だとした。
国立大学では准教授クラスが運営する理研の研究ユニットのリーダーに、
小保方氏のような未熟な研究者を採用したセンターのトップの責任は極めて重いと指摘。
論文執筆に当たって、上司の笹井芳樹副センター長も生データの検証を全くすることなく、職責を果たさなかったとした。
改革委による記者会見に続いて記者会見した理研の竹市雅俊センター長は改革委の提言について
「極めて厳しい。今日初めて知った」と不意打ちを食らった様子。
「組織としての責任が極めて大きく、組織の在り方を抜本的に見直す」と話したが、
自身の進退については明言しなかった。
(共同通信 6月13日)
理化学研究所
科学技術に関する試験研究を総合的に行い、及びその成果を普及することを目的とする特殊法人。
研究不正再発防止のための改革委員会からの提言を受けて
2014年6月12日
研究不正を抑止するため、理研は、第三者からなる研究不正再発防止のための改革委員会(以下「改革委員会」)に研究所の体制、規定、運用等について、外部からの課題の抽出、改善策の検討をお願いしてまいりましたが、本日、改革委員会から、研究不正再発防止に向けた提言を頂きました。岸輝雄委員長はじめ、委員の方々には、二カ月間にわたり献身的にご検討いただいたことについて、感謝いたします。
改革委員会からの提言については、私自身を本部長とする研究不正再発防止改革推進本部において、高い規範を再生するための糧として真摯に受け止め、その内容をしっかりと吟味した上で、研究不正を抑止するために実効性あるアクションプランを策定し、早急に具体的な実行に移してまいります。
理研は、社会的な説明責任を果たしていくために、本年四月から進めているSTAP現象の科学的検証実験に加え、STAP研究で使用された細胞株等の保存試料の分析・評価等を進めております。また、公開データに基づく解析についても理研内外の有識者の意見を伺いつつ進めているところです。これらの結果に関しては、中間的なものも含めて適宜公表してまいります。
独立行政法人理化学研究所
理事長 野依良治
小保方 晴子(1983年6月29日 - )
千葉県松戸市出身。
松戸市立第六中学校、
東邦大学付属東邦高等学校
2002年4月、AO入試の一種である創成入試(現・特別選抜入試)で早稲田大学理工学部応用化学科入学。
特別選抜入試 - 早稲田大学理工学術院2006年3月、早稲田大学理工学部応用化学科卒業。
笹井 芳樹(1962年 - )
1980年愛知県立旭丘高等学校卒業。
1986年 京都大学医学部卒業後、神戸市立中央病院で研修を受け同年、京都大学大学院医学研究科入学
1993年博士号取得(京都大学・医学)。
1993年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部客員研究員
1996年、京都大学医学部助教授(生体情報科学講座)就任
1998年、新設された京都大学再生医科学研究所教授に36歳の若さで就任
2000年理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター・グループディレクター兼任、翌年専任に。
竹市 雅俊(1943年11月27日 - )
1962年3月:名古屋市立向陽高等学校卒業
1966年3月:名古屋大学理学部生物学科卒業
1968年3月:名古屋大学大学院理学研究科修士課程修了、理学修士
1969年12月:名古屋大学大学院理学研究科博士課程中途退学
野依 良治(1938年9月3日 - )
兵庫県武庫郡精道村
兵庫師範学校男子部附属小学校(現:神戸大学附属住吉小学校)
1951年4月、私立灘中学校入学、灘高等学校を経て
1957年4月に京都大学の工学部入学
1961年3月に京都大学の工学部工業化学科卒業
1963年3月、京都大学大学院の工学研究科工業化学専攻にて修士課程を修了。
「ずさん」。
STAP(スタップ)細胞の論文不正問題で、理化学研究所の改革委員会は12日、そんな厳しい言葉で突き放し、
小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が所属する発生・再生科学総合研究センター(神戸市)を批判した。
組織のトップは「責任は大きい」と反省の姿勢を見せたものの、
世界的な研究機関への厳しい視線は、事態の大きさと深刻さを如実に物語っていた。
改革委の岸輝雄委員長(74)は会見冒頭、
STAP論文の不正問題について欧州の友人から「世界の三大不正の一つとして認識されてきた」と言われたことを紹介。
問題が、2000年代に起きた米ベル研究所での高温超電導研究に関する論文捏造(ねつぞう)や、
ソウル大教授の胚性幹細胞(ES細胞)研究に関する捏造と並ぶ科学界の不正事件と受け止められていると切り出した。
穏やかな口調ながら、岸委員長の説明は厳しい内容だった。
小保方氏の研究データの記録・管理を「きわめてずさん」と指摘。
論文作成を指導した笹井芳樹副センター長(52)に関しても、小保方氏の経験不足を認識しながら、
「小保方氏の過去のデータを批判的に再検討・再検証することなく信用し、多くの誤りを見逃した」と断罪した。
報告書はセンターのトップである竹市雅俊センター長(70)にも言及した。
小保方氏について笹井氏と同様の認識がありながら、
データの記録や管理について「確認・指導を行う責務を実施していないばかりか、
そのような責務を負っていることを認識さえしていないことをうかがわせる」と批判した。
会見で「ずさん」という単語が何度も飛び出し、
岸委員長はセンターについて「ここまでのことが起きたときは解体して出直すことが要求される」と提言。
改革委の厳しい目は理研本体にもおよび、
ガバナンス(統治)体制の変更や外部有識者のみの調査・改革監視委員会の設置を求めたが、
岸委員長は理研の野依(のより)良治理事長(75)の責任について、
「自分で(進退を)考えると思う」と話した。
ほかの委員からも厳しい意見が上がった。
竹岡八重子委員は「国民の信頼があってこそ、研究に国費を投じることが許されることを、もう一度理解してもらいたい」。
理研に対する社会の厳しい目が今も続いていることを念押しした。
(産経新聞 6月13日)
【STAP細胞問題 】「幕引き急いでいる」 理研の姿勢、厳しく批判
研究不正の原因究明に時間をかけることなく幕引きを急いでいる感がある―。
外部有識者でつくる改革委員会は、STAP論文問題に対するこれまでの理化学研究所の姿勢を厳しく批判、
不正行為の温床となった発生・再生科学総合研究センター(神戸市)を解体して出直すよう求めた。
▽三大不正
「世界の(科学研究の)三大不正の一つと海外の研究者仲間からメールをもらった」。
改革委の岸輝雄委員長は提言内容を報告する記者会見で、STAP細胞の問題が、
2000年代に起きた米ベル研究所での高温超電導研究に関する論文捏造(ねつぞう)や、
ソウル大教授の胚性幹細胞(ES細胞)研究に関する捏造と並ぶ科学界の不正事件と受け止められていると切り出した。
理研はこれまで、内部の調査委員会で小保方晴子氏の論文の6項目の疑惑だけを調べ、
画像の捏造など2項目について不正と認定し、論文の取り下げを勧告していた。
STAP細胞の再現実験には取り組んでいるが、残された実験材料の検証には手を付けなかった。
こうした対応について、改革委は
「小保方チームはSTAP細胞を完成していたのか、それとも研究成果の捏造であるのかを究明をする姿勢がほとんど見られない」と批判。
「研究不正が見つかりそうになったら論文を取り下げてしまえばよいことを理研が 自ら認めることになりかねない」と指摘した。
▽裏切り
問題が発覚してから約4カ月。実験に使われたマウスは染色体異常のため生まれるはずがないなどの 疑惑が相次ぎ、
いまだに問題を引きずっている。
委員の一人は「科学に対する国民の信頼を裏切っている。信頼される理研としてよみがえってほしい」と
提言内容を徹底して実施するように求めた。
小保方氏のデータ管理は極めてずさんで、実験の検証を不可能とするものだと 述べ、実験ノートは質、量とも貧弱だとした。
国立大学では准教授クラスが運営する理研の研究ユニットのリーダーに、
小保方氏のような未熟な研究者を採用したセンターのトップの責任は極めて重いと指摘。
論文執筆に当たって、上司の笹井芳樹副センター長も生データの検証を全くすることなく、職責を果たさなかったとした。
改革委による記者会見に続いて記者会見した理研の竹市雅俊センター長は改革委の提言について
「極めて厳しい。今日初めて知った」と不意打ちを食らった様子。
「組織としての責任が極めて大きく、組織の在り方を抜本的に見直す」と話したが、
自身の進退については明言しなかった。
(共同通信 6月13日)
理化学研究所
科学技術に関する試験研究を総合的に行い、及びその成果を普及することを目的とする特殊法人。
研究不正再発防止のための改革委員会からの提言を受けて
2014年6月12日
研究不正を抑止するため、理研は、第三者からなる研究不正再発防止のための改革委員会(以下「改革委員会」)に研究所の体制、規定、運用等について、外部からの課題の抽出、改善策の検討をお願いしてまいりましたが、本日、改革委員会から、研究不正再発防止に向けた提言を頂きました。岸輝雄委員長はじめ、委員の方々には、二カ月間にわたり献身的にご検討いただいたことについて、感謝いたします。
改革委員会からの提言については、私自身を本部長とする研究不正再発防止改革推進本部において、高い規範を再生するための糧として真摯に受け止め、その内容をしっかりと吟味した上で、研究不正を抑止するために実効性あるアクションプランを策定し、早急に具体的な実行に移してまいります。
理研は、社会的な説明責任を果たしていくために、本年四月から進めているSTAP現象の科学的検証実験に加え、STAP研究で使用された細胞株等の保存試料の分析・評価等を進めております。また、公開データに基づく解析についても理研内外の有識者の意見を伺いつつ進めているところです。これらの結果に関しては、中間的なものも含めて適宜公表してまいります。
独立行政法人理化学研究所
理事長 野依良治
小保方 晴子(1983年6月29日 - )
千葉県松戸市出身。
松戸市立第六中学校、
東邦大学付属東邦高等学校
2002年4月、AO入試の一種である創成入試(現・特別選抜入試)で早稲田大学理工学部応用化学科入学。
特別選抜入試 - 早稲田大学理工学術院2006年3月、早稲田大学理工学部応用化学科卒業。
笹井 芳樹(1962年 - )
1980年愛知県立旭丘高等学校卒業。
1986年 京都大学医学部卒業後、神戸市立中央病院で研修を受け同年、京都大学大学院医学研究科入学
1993年博士号取得(京都大学・医学)。
1993年カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部客員研究員
1996年、京都大学医学部助教授(生体情報科学講座)就任
1998年、新設された京都大学再生医科学研究所教授に36歳の若さで就任
2000年理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター・グループディレクター兼任、翌年専任に。
竹市 雅俊(1943年11月27日 - )
1962年3月:名古屋市立向陽高等学校卒業
1966年3月:名古屋大学理学部生物学科卒業
1968年3月:名古屋大学大学院理学研究科修士課程修了、理学修士
1969年12月:名古屋大学大学院理学研究科博士課程中途退学
野依 良治(1938年9月3日 - )
兵庫県武庫郡精道村
兵庫師範学校男子部附属小学校(現:神戸大学附属住吉小学校)
1951年4月、私立灘中学校入学、灘高等学校を経て
1957年4月に京都大学の工学部入学
1961年3月に京都大学の工学部工業化学科卒業
1963年3月、京都大学大学院の工学研究科工業化学専攻にて修士課程を修了。