SIGHT (サイト) 2014年 08月号 [雑誌]クリエーター情報なしロッキング・オン
憲法解釈変更、午後に閣議決定=集団的自衛権の行使可能に―与党が正式合意
自民、公明両党は1日午前の安全保障法制整備に関する協議会で、
憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認する閣議決定案について正式に合意した。
安倍晋三首相(自民党総裁)と公明党の山口那津男代表による党首会談を経て、
政府は午後5時半ごろに開く臨時閣議で新たな憲法解釈を決定。
首相は首相官邸で記者会見し、行使容認の意義や必要性を訴え、自衛隊法改正など関連法整備の進め方を説明する。
閣議決定案では、憲法前文の「国民の平和的生存権」や同13条の「生命、自由および幸福追求に対する国民の権利」を根拠に、
「憲法9条が、わが国が自国の平和と安全を維持し、
その存立を全うするために必要な自衛の措置を取ることを禁じているとは到底解されない」と指摘した。
自衛権発動について政府は従来、
(1)わが国に対する急迫不正の侵害の発生
(2)他に適当な手段がない
(3)必要最小限度の実力行使―の3要件を掲げていた。
閣議決定案では(1)を緩和し、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」で、
国民の生命などが「根底から覆される明白な危険がある場合」の自衛権発動は可能との新解釈を打ち出した。
その際の武力行使は「国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がある」と明記した。
また、国際貢献への新たな対応にも言及。国連平和維持活動(PKO)に関しては、
離れた場所で襲撃された文民要員らを自衛隊が救援するための武器使用を認め、「駆け付け警護」を可能にした。
多国籍軍への後方支援では、他国の武力行使と一体化しないことを維持しつつ、「非戦闘地域」の概念を廃止して活動範囲を拡大した。
国連安保理決議に基づく武力行使を伴う集団安全保障措置への参加は、
難色を示す公明党に配慮して明記しなかった。
ただ、政府・自民党はシーレーン(海上交通路)での機雷掃海を想定し、
自衛措置として開始した活動が集団安全保障に移行した場合でも活動を継続できるとの立場。
法案化の段階で与党内の対立が再燃する可能性もある。
(時事通信 7月1日)
集団的自衛権行使容認、閣議決定へ 公明、受け入れ決定
安倍晋三首相は、他国への攻撃に自衛隊が反撃する集団的自衛権について、1日に臨時閣議を開き、
憲法解釈の変更で行使を認める閣議決定をする。
公明党が30日、閣議決定に賛成するかどうかを、山口那津男代表ら執行部に一任。
執行部が同日、受け入れることを決めた。「専守防衛」という日本の安全保障政策が転換点を迎えた。
歴代内閣は長年にわたり、憲法9条の解釈で、日本が集団的自衛権を行使することを禁じてきた。
安倍内閣がこの解釈を変えて集団的自衛権を使えるようにすれば、
戦後一貫して、海外で武力行使をしてこなかった自衛隊のあり方を大きく変えることになる。
自民、公明両党は1日朝に与党協議を開き、閣議決定案について合意する。
その後、両党の党内の手続きなどを経て、臨時閣議を開いて閣議決定。
同日中に首相が記者会見し、憲法解釈を変更した理由などを説明する予定だ。
公明党が30日に開いた会合では「国民の理解が進んでいない」などの慎重意見が出たものの、
最後には、井上義久幹事長が党執行部への対応の一任を提案して了承された。党執行部は同日、閣議決定案の受け入れを決めた。
1日の閣議決定案は、集団的自衛権を使えるように、憲法9条の解釈を変えることが柱だ。
具体的には、これまで個別的自衛権の行使を認めてきた3要件を変更。
新たな3要件として「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合などの条件を設け、それを満たした場合には、日本が集団的自衛権を使えるようにする。
公明党は当初、解釈を変えることには慎重で、党内には閣議決定に反対する意見も強かった。
しかし、新たな3要件について、「国民の(中略)権利が根底から覆される明白な危険があること」の文言が入るなど、
政府・自民党が公明党の意見をいくつか採り入れたことを理由に、「行使は限定的に行われる」として、最終的に受け入れに転じた。
ただ、新たな3要件は抽象的な文言で、行使に具体的な歯止めをする規定はない。
集団的自衛権だけでなく、国連決議に基づいて侵略国などを制裁する集団安全保障でも
「自衛の措置」であれば武力を使えるようにするなど、武力行使の範囲を広げるおそれも残している。
(2014年6月30日 朝日新聞DEGITAL)
集団的自衛権
(英語: right of collective self-defense、フランス語: droit de l�・gitime d�・fense collective)
他の国家が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う国際法上の権利
直接に攻撃を受けている他国を援助し、これと共同で武力攻撃に対処する
第三国が集団的自衛権を行使するには、宣戦布告を行い中立国の地位を捨てる必要があり、
宣戦布告を行わないまま集団的自衛権を行使することは、戦時国際法上の中立義務違反となる
集団的自衛権:「憲法守れ」…官邸前で2委員会が反対集会
集団的自衛権の行使容認に反対する市民団体「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」と「戦争をさせない1000人委員会」は30日夜、
東京・永田町の首相官邸前で相次いで集会を開いた。
他のグループも両団体に呼応し、官邸周辺の歩道は一時、市民で埋め尽くされた。
参加者は声をからして「集団的自衛権いらない」「憲法守れ」とシュプレヒコールを繰り返した。
集会に参加した東京都大田区の会社員、石川由美子さん(56)は「国民的な議論をせず、勝手に憲法解釈を変えて戦争できる国にすることは絶対に許せない」と話した。
両団体は自衛隊発足60年となる7月1日、国会周辺で反対集会や記者会見を開き、抗議の声を上げる。
(毎日新聞 2014年06月30日)