<年金納付延期>65歳以上の就労前提 水準確保へ苦肉の策
厚生労働省は1日、公的年金の底上げ策として、基礎年金への加入期間を5年延ばす方針を打ち出した。
受給開始年齢(原則65歳)を遅らせることとセットで、一定水準の年金を確保する苦肉の策だ。
ただ、65歳以降も年金をもらうまで働き続けることが前提で、高齢者の雇用確保など実現への課題は多い。
厚労省によると、厚生年金のもらい始めの給付水準(現役世代の平均的手取り額に対する年金額の割合)は、
加入期間の延長により、モデル世帯で将来も57.1%(現在62.7%)を維持できるという。
受給開始を66歳に遅らせると、給付水準は62.6%にアップし、
その後も、67歳68.2%▽68歳73.8%▽69歳79.6%▽70歳85.4%−−と上昇。
70歳では4割以上の増額になる。
65歳まで生きた人の平均寿命は男性84歳、女性89歳程度。
70歳からもらい始めても、82歳ごろまで生きれば、受給総額は65歳から受け取った場合と変わらなくなる。
厚労省は高齢者も働いて年金を支える側に回ってもらうことを狙うが、
早く死亡すれば「損」になる。2012年度に受給繰り下げを選んだ人は1.2%にとどまった。
今後どこまで普及するかは見通せず、
1日の社会保障審議会年金部会(厚労相の諮問機関)では「周知徹底が必要」との指摘が相次いだ。
昨年4月、希望者全員を65歳まで雇うことが義務付けられたが、
60代後半の就業率は4割弱にとどまる。しかも基礎年金財源の半分は税金だ。
加入期間の延長で保険料は確保できても、税負担分の財源にはめどが立っていない。
(毎日新聞 10月1日)