自衛隊の海外活動拡大 安保法制骨格、自公が正式合意
自民、公明両党は20日、
新たな安全保障関連法案に関する与党協議を国会内で開き、集団的自衛権の行使を可能にし、
自衛隊の海外での活動を大幅に拡大する安保法制の骨格について正式合意した。
法案が成立すれば、憲法9条の下で専守防衛に徹してきた日本の安保政策は、戦後70年の節目に大きく転換することになる。
政府は与党合意を受け、関連法案の作成に着手。
4月13日にも再開する与党協議での最終合意を経て、5月中旬に法案を国会に一括提出する方針。
政府は今国会中の成立を目指し、6月24日までの会期を40日程度延長する方向で検討する。
(2015.3.21.北海道新聞)
安保政策、根底から転換 自衛隊の海外活動拡大へ
安全保障法制をめぐる与党協議は20日、自衛隊の海外活動を大幅に広げる方向で一致した。
安保政策を大きく転換した背景には、軍事的な台頭が著しい中国の脅威に対抗するべく、
米側の期待に応えることで同盟の深化を進めたいという安倍政権の思惑がある。
ただ、日米双方の姿勢には微妙なズレもうかがえる。
「安全保障環境の変化をしっかり見据え、領土、領海、領空を断固として守っていく信念のもと、その責任を果たしていきたい」
20日の参院予算委員会。今回の安保法制見直しの狙いを問われた安倍晋三首相はこう力を込めた。
首相の念頭にあるのは中国の存在だ。世界第2位の経済力を持ち、軍事力を増強させる中国にいかに対応するのか。
安倍政権の一連の安保政策はこの点に集約される。
日本の対応はこれまで、米国の求めに応じてその都度、自衛隊の活動拡大を繰り返してきた。
冷戦時代には旧ソ連への対策を重視。朝鮮半島情勢に危機感を持った米側から、
日本に1千項目を超える具体的な自衛隊の支援内容を要求され、
これに応えて1997年に日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改定。
さらに、米軍を支援する周辺事態法を作った。
2001年の米国同時多発テロを契機に、インド洋やイラクでの軍事協力を求められた。
自衛隊法や周辺事態法の枠組みでは派遣要件などが合わず、
派遣期間や派遣場所、活動内容を限定した特別措置法をつくり、自衛隊の海外派遣の枠組みを広げてきた。
だが、今回の安保法制見直しや18年ぶりとなるガイドラインの改定は、日本側から提案した。
12年9月の尖閣諸島の国有化以来、中国公船による領海侵犯は後を絶たない。
この状況を転換するには米国との「同盟深化」を前面に掲げ、
米軍による抑止力の向上につなげるしかないとの思惑がある。
政府は与党協議で、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」の新たな対応として米艦を防護できるとの事例を盛り込んだ。
平時の警戒監視活動から有事に至るまで、切れ目なく米軍を支援できる態勢をみせることで、
米軍の協力を引き出しつつ、中国を牽制することを狙っている。
現行の日米ガイドラインをもとにした周辺事態法を抜本的に改正し、
事実上の地理的制約となる「周辺事態」という概念を削除。
新たな「重要影響事態」と政府が認定すれば、米軍や米軍以外の他国軍への後方支援が海外でも可能となる。
装備や態勢は米軍に及ばないものの、自衛隊が少しでも肩代わりを果たすとの狙いが先行している。
今回の与党合意に沿って法制化されれば、米軍や他国軍への後方支援の範囲は広がり、
国連平和維持活動(PKO)などで武器使用基準が緩和される。
米軍が中心となる有志連合による人道復興支援や治安維持活動にも参加が可能となる。
昨年7月の閣議決定で憲法解釈を変更した集団的自衛権の行使容認も、今回の基本方針に反映された。
「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される」とした「新事態」を導入し、
限定的ながら集団的自衛権を行使する枠組みも組み込んだ。
(2015.3.21.朝日新聞DEGITAL)
自民、公明両党は20日、
新たな安全保障関連法案に関する与党協議を国会内で開き、集団的自衛権の行使を可能にし、
自衛隊の海外での活動を大幅に拡大する安保法制の骨格について正式合意した。
法案が成立すれば、憲法9条の下で専守防衛に徹してきた日本の安保政策は、戦後70年の節目に大きく転換することになる。
政府は与党合意を受け、関連法案の作成に着手。
4月13日にも再開する与党協議での最終合意を経て、5月中旬に法案を国会に一括提出する方針。
政府は今国会中の成立を目指し、6月24日までの会期を40日程度延長する方向で検討する。
(2015.3.21.北海道新聞)
安保政策、根底から転換 自衛隊の海外活動拡大へ
安全保障法制をめぐる与党協議は20日、自衛隊の海外活動を大幅に広げる方向で一致した。
安保政策を大きく転換した背景には、軍事的な台頭が著しい中国の脅威に対抗するべく、
米側の期待に応えることで同盟の深化を進めたいという安倍政権の思惑がある。
ただ、日米双方の姿勢には微妙なズレもうかがえる。
「安全保障環境の変化をしっかり見据え、領土、領海、領空を断固として守っていく信念のもと、その責任を果たしていきたい」
20日の参院予算委員会。今回の安保法制見直しの狙いを問われた安倍晋三首相はこう力を込めた。
首相の念頭にあるのは中国の存在だ。世界第2位の経済力を持ち、軍事力を増強させる中国にいかに対応するのか。
安倍政権の一連の安保政策はこの点に集約される。
日本の対応はこれまで、米国の求めに応じてその都度、自衛隊の活動拡大を繰り返してきた。
冷戦時代には旧ソ連への対策を重視。朝鮮半島情勢に危機感を持った米側から、
日本に1千項目を超える具体的な自衛隊の支援内容を要求され、
これに応えて1997年に日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を改定。
さらに、米軍を支援する周辺事態法を作った。
2001年の米国同時多発テロを契機に、インド洋やイラクでの軍事協力を求められた。
自衛隊法や周辺事態法の枠組みでは派遣要件などが合わず、
派遣期間や派遣場所、活動内容を限定した特別措置法をつくり、自衛隊の海外派遣の枠組みを広げてきた。
だが、今回の安保法制見直しや18年ぶりとなるガイドラインの改定は、日本側から提案した。
12年9月の尖閣諸島の国有化以来、中国公船による領海侵犯は後を絶たない。
この状況を転換するには米国との「同盟深化」を前面に掲げ、
米軍による抑止力の向上につなげるしかないとの思惑がある。
政府は与党協議で、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」の新たな対応として米艦を防護できるとの事例を盛り込んだ。
平時の警戒監視活動から有事に至るまで、切れ目なく米軍を支援できる態勢をみせることで、
米軍の協力を引き出しつつ、中国を牽制することを狙っている。
現行の日米ガイドラインをもとにした周辺事態法を抜本的に改正し、
事実上の地理的制約となる「周辺事態」という概念を削除。
新たな「重要影響事態」と政府が認定すれば、米軍や米軍以外の他国軍への後方支援が海外でも可能となる。
装備や態勢は米軍に及ばないものの、自衛隊が少しでも肩代わりを果たすとの狙いが先行している。
今回の与党合意に沿って法制化されれば、米軍や他国軍への後方支援の範囲は広がり、
国連平和維持活動(PKO)などで武器使用基準が緩和される。
米軍が中心となる有志連合による人道復興支援や治安維持活動にも参加が可能となる。
昨年7月の閣議決定で憲法解釈を変更した集団的自衛権の行使容認も、今回の基本方針に反映された。
「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される」とした「新事態」を導入し、
限定的ながら集団的自衛権を行使する枠組みも組み込んだ。
(2015.3.21.朝日新聞DEGITAL)