「卍」
谷崎潤一郎
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中公文庫版
卍(まんじ) (中公文庫)クリエーター情報なし中央公論新社
美しい関西弁の織りなすマインドコントロール小説
14年ぶりに読み返す
初めてこの本を見つけたのは当時交際していた女子の部屋で
懐かしい思いで読むも、ちょっとめんどくさい心理戦なので
読み返し終わるのに時間がかかりました
映画版(もちろん若尾&岸田版)も何度か観ているのですが
原作ほど関西弁が強烈では無くキレも悪く
やはりこの原作に敵う関西サディスティックレスビアンマインドコントロールもんは
世の中に存在しないんですな
ここで書かれている文体としての関西弁が本当に優れもので
口語表現なのに崇高文学の体
光子さんの言葉は柔らかく上品で頼りなく儚げであるのに
エゲツなくマインドコントロールしてくるし
様々なエグい目な遭いながらも天然の脳天気さで先生に伝承する主人公の奥さんの語り口も素敵過ぎます
小賢し不能者綿貫のゲスい言葉も底無しの松永太感あり
疑心暗鬼を駆り立て夫婦を破滅に導いていくも
結局脳天気で天然の主人公の奥さんが生き残り
先生に伝承してチャンチャンとなります