<放火殺人>パチンコ店で5人死亡、48歳被告の死刑確定へ
大阪市此花区のパチンコ店にガソリンをまいて火を付け5人を死亡させたとして、
殺人などの罪に問われた高見素直被告(48)の上告審判決で、
最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は23日、被告の上告を棄却した。1、2審の死刑判決が確定する。
上告審で弁護側は「常識ではあり得ない妄想を持っていた。完全責任能力を認めて死刑とした1、2審判決は破棄すべきだ」と主張。
さらに「絞首刑は残虐な刑罰を禁止した憲法に違反する」などと訴えた。
検察側は「妄想による影響は限られていた。自らの意思によって犯行を回避することは可能だった」と反論していた。
1、2審判決によると、高見被告は生活に行き詰まった不満から社会や妄想上の人物に報復しようと無差別殺人を計画。
2009年7月、パチンコ店に放火して5人を殺害するなどした。
(毎日新聞 2016年2月23日)
大阪此花区パチンコ店放火殺人事件
2009年7月5日午後4時15分頃、大阪市此花区の雑居ビル1階のパチンコ店から出火した。
約20分後に消し止められたが、約400㎡の店内は全焼。
この火事によって、69歳男性、72歳女性(会社会長)、62歳女性、20歳女性(同店派遣従業員)の4人が死亡し、19人が重軽傷を負った。
店員らの証言により、油のようなもの(後にガソリンと判明)をまいて火を点けて逃げた男がいたことが分かり、
大阪府警は現住建造物等放火、殺人、殺人未遂容疑で捜査を開始した。
死亡した4人を司法解剖した結果、3人が焼死、1人が一酸化炭素中毒死と判明した。
翌6日、「自分がやった」と山口県警岩国署に男が出頭。
供述が状況と矛盾しないことから、此花署捜査本部は、現住建造物等放火、殺人、殺人未遂容疑で41歳男を逮捕した。
同年8月6日午後11時20分頃、重症だった50歳男性(無職)が入院先の大阪市内の病院で死亡。事件での被害死者が5名となった。
高見は、消費者金融からの借入れが300万円前後まで膨らんで、その返済に困窮していた。そこで、「仕事も金も無く、人生に嫌気がさした。通り魔みたいに誰でもいいから人を殺したいと思い、人が大勢いるところに火をつけた」と供述した。