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異教徒を永遠に“性奴隷”にするために

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異教徒を永遠に“性奴隷”にするために…ISの謀略が明らかになった!

「下着を脱げ!」

そう言われて、いよいよこの男にレイプされるのだという恐怖で、彼女の体は凍りついた。
だが男は、彼女の太腿に手を伸ばすと、触れる代わりに注射を打った。それは、避妊用のホルモン剤だった。その後、男は彼女にベッドに横たわるように命じた──。

IS(いわゆる「イスラム国」)の「性奴隷」にされたこの体験を、米「ニューヨーク・タイムズ」紙に語ったのは、まだあどけなさの残るヤズィド教徒の少女だ。イラク北部に暮らすクルド系少数派のヤズィド教徒は、ゾロアスター教に似た土着の宗教を信仰している。
そのため、ISは彼らを「邪悪な異教徒」と見なし、2014年にその居住地域を襲撃。男は虐殺され、女は「戦利品」としてISが“首都”とするシリア北部の都市ラッカに拉致された。

その日から、捕虜になった女性たちは、性奴隷としてISの支配地域で地獄のような日々を送っている。
彼女たちの価値は年齢で決まるが、だいたいは戦闘員に褒賞としてあてがわれたり、タバコと変わらないような値段で高官に売り飛ばされる。
「ロイター」によれば、IS内部にはこの「性奴隷制度」を管轄する専門の部署まであるという。また、コーランを曲解したISの公式文書には、「たとえ子供でも、性奴隷をレイプすることは合法」だと明記されている。

昨年、幸運にも数百人の女性たちが監禁生活から逃げ出すことができた。
米「ニューヨーク・タイムズ」紙がそのうちの37人の女性に取材をしたところ、この性奴隷制度を円滑に運用するため、ISは彼女たちに対し避妊ピルやホルモン注射を投与するなど、徹底した避妊を行っていたことが明らかになった。

彼女たちによると、戦闘員は女性をレイプする前にまず、妊娠していないかを念入りに確認する。
イスラム法研究の権威であるプリンストン大学のバーナード・ハイケル教授は、「これはイスラム教の戒律で、妊娠している女性と性的交渉を持つことが禁じられているから」だと説明する。妊娠した女性は性奴隷としての価値を失うため、ISは女性たちを厳しく管理し、妊娠を阻止することによって、性奴隷を“安定供給”しようとしているのだ。

そのためISの支配下では、女性たちは避妊ピルを定期的に支給され、それを飲むように強制される。年端のいかない少女たちのなかには、何を飲まされているか理解していない者も多い。
さらに彼女たちは病院に定期的に連れて行かれて、妊娠していないかどうか検査される。妊娠が発覚した場合は、中絶薬を強制的に飲まされることもある。

前出の少女は7人の戦闘員に売り飛ばされたが、3人目の“主人”には、妊娠していないかどうかを特にしつこく問いただされた。
この男は、少女の生理が遅れていると知ると、緊急避妊薬を飲ませ、さらに冒頭のように避妊薬を注射してからレイプしはじめたという。

レイプは「戦争犯罪」

このように、紛争地域では、女性に対する性暴力が当たり前のように横行している。国連で性暴力の抑止に取り組むザイナブ・バングーラは、その理由を「性暴力は、戦時下では一般市民に起きている『取るに足らない犯罪』と認識され、罪に問われることがなかったから」だと話す。

たとえば1990年代に起きたユーゴスラビア紛争では、「民族浄化」を目的にレイプが戦略的に行われた。ルワンダで94年に発生した大虐殺では、100日間で実に50万人もの女性が性暴力の被害に遭ったと言われている。
最近ではナイジェリアの武装組織ボコ・ハラムが、幼い少女たちを誘拐し、戦闘員と強制的に結婚させた事件が記憶に新しい。

被害にあった女性たちは、癒えることのない精神的トラウマと周囲からの白眼視に激しく苦悩する。
英「インディペンデント」紙によれば、ISから逃れて来た女性たちのなかには、イラク北部の都市ドホークの保健衛生委員会によって処女膜検査をされるという屈辱を受けた者もいたという。周囲の冷遇に耐えきれず、「処女膜再生手術」をしようと躍起になる女性もいる。
囚われの身となっていたある少女は、「いっそのこと殺してほしかった」と同紙に辛い胸の内を明かした。

前出の旧ユーゴスラビアやルワンダのケースでは、国際的な司法の場で初めてレイプを戦争犯罪とする判決が下された。これを機に国際社会では、戦時下での性暴力を抑止しようという動きが高まっている。

レイプが深刻な社会問題になっているコンゴ民主共和国で、被害者のケアを行うある心理学者は、性暴力の原因と対策について米「タイム」誌に次のように語った。

「性暴力は、『男性に始まり男性に終わる』もの。紛争地の男性に人権やジェンダー学の知識がほとんどないせいで、性暴力がなくならないのです。彼らに教育の機会を与えれば、状況の改善に向けて大きく前進するでしょう」

(courrier.jp 2026.3.26)

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