兵庫・川西で女性暴行死 集団生活の４人を容疑で逮捕 「単独犯」で服役中の兄の共犯
兵庫県川西市の民家で平成２５年に無職、肥後恭子さん＝当時（２５）＝が同居していた兄の健太郎受刑者（２９）＝傷害致死罪で懲役５年確定＝から暴行を受けて死亡した事件があり、兵庫県警捜査１課などは２４日、暴行に加わっていたとする傷害致死容疑で、肥後さんらと集団生活を送っていた同市鼓が滝、無職、田口恵子被告（３２）＝傷害罪などで起訴＝ら４人を逮捕した。
ほかに逮捕されたのは、肥後さんの元夫の弟で、田口容疑者と内縁関係にある無職、下地道嗣被告（３４）＝暴行罪で起訴▽道嗣容疑者と養子縁組をしている無職、下地貴慎（たかのり）被告（２４）＝暴行罪などで起訴▽貴慎容疑者の弟の無職少年（１７）。田口容疑者は黙秘、道嗣容疑者は容疑を否認しており、残る２人は認めているという。
逮捕容疑は共謀し、２５年１０月１６日夜、同市の民家などで、肥後さんの全身を棒で殴打するなどし、吐いたものをのどに詰まらせて窒息死させたとしている。
県警によると、４人は近くの２軒の民家と集合住宅の一室を行き来し、肥後さんの１０歳未満の実子３人を含む３世帯十数人で集団生活を送っていた。集団の形成過程や主従関係は現段階で不明という。
県警は当時、自ら１１９番し、「１人でやった」と供述した健太郎受刑者を現行犯逮捕。周囲の証言や現場の状況から１人の犯行と断定し、神戸地検も健太郎受刑者のみを傷害致死罪で起訴、２６年に有罪判決が確定した。
しかし今年１０～１１月、今回逮捕された無職少年の脇腹にライターの火で大やけどを負わせるなどの虐待行為をしていたとして、県警が田口容疑者ら４人を傷害容疑などで逮捕。その後の調べで、無職少年を含む４人が肥後さんの暴行に加わっていたことが判明した。
(2016.12.24 産経WEST)
女性暴行死 少年ら男女４人逮捕 兵庫・川西
兵庫県川西市の民家で２０１３年、無職の肥後恭子さん（当時２５歳）に殴る蹴るの暴行を加えて死亡させたとして、県警捜査１課は２４日、少年を含む男女４人を傷害致死容疑で逮捕した。この事件では肥後さんの兄の健太郎受刑者（２９）が１３年に逮捕され、同罪で服役中。兄妹は当時、この４人を含む十数人で共同生活をしていたという。
逮捕されたのは、肥後さんの元夫の弟の下地道嗣（みちつぐ）容疑者（３４）＝川西市鼓が滝３▽その内縁の妻、田口恵子容疑者（３２）▽下地容疑者の養子の貴慎（たかのり）容疑者（２４）＝同市鼓が滝１▽少年（１７）－－のいずれも無職の４人。
逮捕容疑は１３年１０月１６日夜、健太郎受刑者と共謀し、当時住んでいた川西市内の民家で肥後さんの全身を蹴ったり木の棒で殴ったりする暴行を加えて死亡させたとしている。道嗣容疑者は容疑を否認、田口容疑者は黙秘、貴慎容疑者と少年は認めているという。
捜査１課や関係者によると、兄妹らは親戚や知人、その子どもらと市内にある複数の民家を行き来しながら同居し、生活保護を受けていたという。県警は田口容疑者がリーダー格だったとみている。
健太郎受刑者は逮捕当時、「家事をしないなど妹の生活態度に腹が立ち、１人で暴行した」などと供述し、１４年に傷害致死罪で懲役５年の実刑判決を受けた。４人は関与を否定し、県警は単独で暴行したとみていた。
今年７月、同居していた１人の女性が県警に「支配されているような生活をしている」と相談。この過程で、少年に熱湯をかけたり殴ったりする暴行があった疑いが浮上し、県警は１０～１１月、道嗣ら４容疑者を傷害や暴力行為などの容疑で逮捕。傷害致死事件についても再捜査を進めていた。
「支配下に置かれた」同居の女性
「多くの男女が共同生活する家があり、自分も支配下に置かれている」。捜査の端緒は家を抜け出した女性の証言だった。死亡した女性や逮捕された少年は、同居の男女から激しい暴行を受けていたといい、兵庫県警が実態を調べている。
県警や関係者によると、少年はささいな理由で暴行を受け、裸にされて熱湯をかけられたり、手の爪の間に針を刺されたりしていた。スプレー缶で腹部に炎を噴射され、重傷を負ったこともあったという。
少年や死亡した女性は、川西市内の３軒の民家を行き来しながら小さな子どもを含む１５人前後で５～６年前から共同生活をしていた。同居の経緯は不明だが、大半が仕事をせず、生活保護で暮らしていたという。県警によると現在、子どもは全員保護され、所在が分からない関係者はいないという。
家の前には何台もの車が止められ、多くの若い男女が入り浸っていた。「あほ」「何してんねん」などと責され、男の子が家から閉め出される姿も目撃されていた。
近くの男性は「不気味な家だと思っていたが、こんな事件が起きるなんて」と驚いた様子で話した。
(毎日新聞2016年12月24日)