鳥羽水族館(鳥羽市鳥羽)で飼育展示中の「ダイオウグソクムシ」が2009年1月2日に餌を食べて以来、3年11カ月(1408日)間何も食べず絶食状態を続けている。
あと2カ月で4年間の絶食生活記録が更新される。(伊勢志摩経済新聞)
ダイオウグソクムシは、ダンゴムシやフナムシの仲間で、等脚目の中で世界最大。
日本最大のオオグソクムシが体長10〜15センチメートルに対してダイオウグソクムシは20〜45センチメートルの大きさになる。
メキシコ湾や西大西洋周辺の200〜1000メートルの深さの海底に生息し、堆積するにごみや落ちてくる魚の死骸などを食べ「海の掃除屋」と呼ばれているが、生態はよく分かっていない。
7対の脚、尾部にとげを持ち、固い甲は外敵から身を守るためのものであると推測される。
エビやカニと同様の腹部にある腹肢を上下させ海中を遊泳する。節足動物門甲殻綱等脚目スナホリムシ科。
同館のダイオウグソクムシは、これまで5個体が入館。現在、最初に入館した「No.1」と5番目に入館した「No.5」の2個体(共にメキシコ湾で捕獲)が飼育展示され、
入館者からは「デッカいダンゴムシ〜」などと声を掛けられながら、同館人気者のラッコやジュゴンの影でひっそりと「極地の海」の水槽の中で息を続けている。
3年11カ月間絶食状態のダイオウグソクムシは、2007年9月9日に入館した「No.1」(入館時の体長=29センチ、体重=1040グラム)。
餌は月に1度水槽の中に入れて与えているが、2個体ともほとんど食べていない。
「No.1」は入館して1年以上全く何も食べず2008年11月に初めてアジをかじった形跡を残し、翌月の12月1日に3分の1ほど食べ、2009年1月2日に初めて約50グラムのアジ1匹を平らげた。それ以来全く食べようとせず、3年11カ月が経過した。
同館飼育研究部の森滝丈也さんは「普段ほとんど動かないのでエネルギー消費量が少ないから食べなくてもいいのか?
餌となるものがほとんどない深海でも、生き耐えられるような体の構造になっているのか? 謎が多い生き物」と話す。
国内で最初にダイオウグソクムシを飼育した葛西臨海水族園(東京都江戸川区)飼育担当の雨宮健太郎さんは「当園のダイオウグソクムシは週に1度餌を与えているが1カ月に1度食べるか食べないか。その時の食べる量は約50グラムのカタクチイワシ3分の1程度。3年以上絶食している個体は当園にはいない」と話す。
森滝さんは「11月5日に餌を与えたところ、いつもより少し反応が良かったが、結局今回も食べなかった。もしかすると来月か再来月には食べてくれるかも」と期待を込める。
ダイオウグソクムシがやってきた