ニーチェの馬 A TORINOI LO
2011年/ハンガリー=フランス=スイス=ドイツ/154分/35mm
監督:タル・ベーラ 出演:ボーク・エリカ、デルジ・ヤーノシュ
●ドイツの哲学者ニーチェの、トリノの広場で馬の首にしがみつき発狂したという逸話を基に、荒野に暮らす男とその娘、一頭の馬のたどる運命を描く、〈終末〉の物語。徹底的に排除された台詞、極限まで削ぎ落とされた演出、そこには生と死に向き合う静謐な世界が広がる。ダイナミックな長回しと、フィルムが持つ物質としての美しさに陶酔し、芸術の神髄に触れる至上の2時間34分。タル・ベーラは本作を自身の“最後の作品”と公言している。
倫敦から来た男 A LONDONI FERFI
2007年/ハンガリー=ドイツ=フランス/138分/DV-CAM
監督:タル・ベーラ 原作:ジョルジュ・シムノン 出演:ミロスラヴ・クロボット、ティルダ・スウィントン
●ある晩、静かな港で起こった殺人事件。偶然にも大金を手に入れた男と失った男。『メグレ警視』シリーズなどで知られるジョルジュ・シムノンの小説を基に、ふとした偶然から犯罪に絡む大金を手にしてしまったある鉄道員の運命をスリリングに描くノワールサスペンス。ある日突然欲望と引き換えに平穏な日常を失い、心理的に追いつめられていくさまを、光と影が織りなす美しいモノクロ映像で重厚かつ緊張感いっぱいに描き出す。