中国人被告、被害者に謝罪=初公判で罪認める−毒入りギョーザ事件
2008年1月に発覚し、日本人10人が被害を受けた中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国河北省石家荘市中級人民法院(地裁)は30日、製造元「天洋食品」(同市)の元臨時従業員で、危険物質投入罪で起訴された呂月庭被告(39)に対する初公判を開いた。同被告は「私がやりました。被害者の皆さんに申し訳ない」と述べ、罪を全面的に認めて謝罪した。この日の公判で結審し、判決は後日言い渡される。
国営新華社通信も30日、「日本人に中毒をもたらした『毒ギョーザ事件』の審理が始まった」と速報で伝えた。
10年8月の起訴から3年近くがたち、なぜこのタイミングで初公判が開かれるかにも関心が集まっている。事件後、日本国内では中国の食品安全問題に発展し、対中感情の悪化を招いた。沖縄県・尖閣諸島をめぐり日中関係が冷え込む現在、日中関係筋は「中国当局は公判を通じ、食品安全問題に断固とした姿勢を示すなど、対日関係を意識した可能性がある」との見方を示した。
(2013.7.30.時事.com)
メタミドホス (methamidophos)
「日本の中毒、非常に後悔」…毒物混入容疑者
中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、中国公安省の杜航偉・刑事偵査局長が28日、一部日本メディアの取材に応じ、逮捕された製造元「天洋食品」の元臨時従業員、呂月庭・容疑者(36)は事件発覚約4か月前の2007年10月1日から計3回にわたって、工場内で盗んだ有機リン系殺虫剤メタミドホスを注射器でギョーザに注入していたと供述していると明らかにした。
杜局長は、呂容疑者は「単独犯だ」と述べ共犯がいた可能性を否定した。同容疑者は社内で正規従業員との待遇の差が大きいことに不満を募らせ、特に、妻の出産休暇の際、ボーナスが支払われなかったことに怒って会社への報復を考えたと供述しているという。
26日に国営新華社通信が容疑者逮捕を報じて以来、公安省幹部が直接取材に応じ、捜査状況を詳細に明かすのは初めて。杜局長は、日本の警察幹部の訪中を「すでに招請している」と明らかにし、日本の捜査当局と緊密に協力していく姿勢を強調した。
杜局長によると、呂容疑者は07年7月と8月に工場の清掃部門から殺虫剤を盗み、医療機関から廃棄された針付きの注射器数本を入手。同年10月1日と同月下旬、12月下旬の計3回にわたって、ギョーザの冷凍庫に侵入し、注射器でギョーザに注入した後で注射器を工場内の下水道に捨てたと供述している。
12月下旬の混入について、局長は、08年6月に河北省承徳で起きた天洋食品製冷凍ギョーザ中毒事件の原因と断定した、と述べた。
呂容疑者は1993年から天洋食品の食堂管理の臨時従業員として勤務していた。杜局長は、呂容疑者が一貫して「重点捜査対象だった」と強調したが、逮捕まで2年以上の時間がかかったことについては「冷凍庫に接触できる者586人を調べなければならず、作業量が膨大だった」と話した。そのうえで、今回捜査が急転した理由については、呂容疑者が事件発覚後に妻や親戚に「自分がやった」と漏らしていたことがわかり、3月16日に身柄を拘束して調べた結果、メタミドホス混入を認めた、と説明した。21日には本人の供述通りに下水道から注射器が発見されたという。
呂容疑者は、「日本の消費者の中毒を招くとは思ってもいなかった。非常に後悔している」と話しているという。
(2010年3月28日21時09分 読売新聞)
殺虫剤が混入した冷凍餃子中毒事件(2007-2010)
2007年12月下旬から2008年1月にかけて、中国の天洋食品が製造、ジェイティフーズが輸入、
日本生活協同組合連合会が販売した冷凍餃子を食べた千葉県千葉市、市川市、兵庫県高砂市の3家族計10人が下痢や嘔吐などの中毒症状を訴え、このうち、市川市の女児が一時意識不明の重体に。
両県警が餃子を鑑定したところ、メタミドホスなど有機リン系殺虫剤が検出されたため,ジェイティフーズは同社製造の23品目、約58万点の自主回収を行うと発表。
その後の詳細な鑑定の結果、市川市の家族が食べて吐き出した餃子の皮から3580ppm(3.58mg/g)、具から3160ppm(3.16mg/g)のメタミドホスが検出された。
これは検疫基準を大幅に上回り、数個食べただけで死に至る可能性がある量であった。
内閣府の食品安全委員会農薬専門調査会によると、人が一度に摂取すると健康被害を及ぼすメタミドホスの量(急性参照用量)は0.003mg/kg 体重/日、一生毎日摂取し続けても健康に影響のない量(一日摂取許容量)は0.0006mg/kg 体重/日であるとされる。
メタミドホスは日本では農薬として登録されたことがなく、中国では2007年1月から販売と使用が全面禁止されていたが、管理が十分でなく、中毒による死者も出ていた。
2008年2月5日、日本生協連は福島県喜多方市で販売されていた「CO・OP手作り餃子」(2007年6月製)から高濃度のジクロルボスを検出したと発表。
同日、生協連は中国の調査団によるサンプル要請を受けて、同じ製造日の冷凍ギョーザ8袋を未検査のまま中国側に提供していたことが後に明らかになり、証拠隠滅につながりかねないとして問題視された。
2月8日には同商品からトルエン、キシレン、ベンゼンが、2月20日には仙台市のみやぎ生協から回収した同商品から、ジクロルボス、パラチオン、パラチオンメチルの計3種類の有機リン系殺虫剤が検出された。
パラチオンとパラチオンメチルは、日本では毒性が強いため1971年に使用が禁止され、中国でも2007年に使用が禁止されたがそれ以前は一般的な農薬だった。
殺虫剤が餃子の包装の外側にも付着しており、一部の袋には穴が開いていたことから、毒物混入の経緯が問題となった。
2月21日、警察庁の吉村博人長官は定例記者会見で、「密封された袋の内側からも検出されており、袋の外側から薬物が浸透する可能性がない」
「薬物が日本で使用されているものと違って不純物が多く含まれていた」
「千葉、兵庫両県で中毒を起こしたギョーザは中国を出荷後、流通ルートに接点がない」点などを根拠に
「日本国内で混入した可能性は低いと考えている」と発表、
公の場で警察庁としての公式見解を初めて示した。
2008年2月22日、警察庁は、中国公安部との情報交換会議で捜査・鑑定の結果を提供したが、中国公安部側は「混入の可能性は日中双方にある」と応じた。
2月28日、中国公安省刑事偵査局の余新民副局長が「中国で混入した可能性は低い」と述べ、日本国内での毒混入を示唆するとともに、「日本は鑑定結果を提供しない」と発言した。
同日、吉村警察庁長官は、余副局長の会見内容について、鑑定結果や証拠写真は提供済みだとして、「看過できない」「不可解」と厳しく反論した。
2月28日の会見で余副局長は、実験の結果メタミドホスが袋の外側から内側へと浸透したと発表したが、その後この実験に使われた袋の一部に穴が空いていたことが明らかにされている。
福田康夫首相はこのような中国の姿勢を「非常に前向き」と評し、保守派を中心に国内の反感を招いた。
こうして日中の主張は平行線となり、警察当局も捜査を一旦終了し、事件はこのまま真相が解明されないまま迷宮入りするかと思われた。
中国当局は詳細が判明するまで新華社及び政府発表以外報道を控えるよう通達を出していたため、中国共産党機関紙が手短に伝えた程度であったが、2月11日、徳島にて冷凍餃子の包装の外側から微量の有機リン系殺虫剤「ジクロルボス」が検出され、販売店が防虫作業のために店内にて「ジクロルボス」を含む薬剤を使用した可能性があったことを発表すると、
中国国内にて報道が急増、「日本人は毒餃子が中国と無関係と認めた」と情報操作を開始し、
2月15日には、天洋食品工場長の言葉として「我々は最大の被害者だ」など事実とは異なる表現で報じられるようになった。
また、同日に共同通信の記者が中国国内でメタミドホスを購入・所持し、中国の国内法に抵触したため一時拘束された。
その結果、中国のネットでは「日本人は虚弱体質」「日本人が毒物を混入した」等の書き込みが増えることとなった。
TBSは番組内にて、これまでの経緯をまとめて報じ、中国語で「すり替え」を意味する「頂替」であると中国を批判した。
このような中国当局の対応により、中国の一部の消費者に対し天洋食品の餃子は問題ないという認識がなされ、後の事件に繋がった。
なお、この事件をきっかけに中国で日本米の輸入がストップされ、「政治的圧力がかかっているのではないか」(輸出関係者)と指摘された。
2008年8月6日、中毒事件発覚後、中国国内で回収された天洋食品製の餃子が流通し、その餃子を食べた中国人が中毒症状を起こしていたことが報じられる。
この中国における事例は6月中旬に発生した。
讀賣新聞などは7月初めの時点で既に国内の関係者にはこれに関して情報が伝えられていたとも報道した。
さらにこの事実により中国の政府側は日本側の主張通りである可能性が大きくなったとを北京の日本大使館を経由して日本政府に7月頃に伝えていたが、
福田康夫総理大臣および高村正彦外務大臣はこの事実を中国側の要請により即公表しなかったことが後で明らかになる。
その後、余副局長は更迭され、また、質検総局の局長は自殺したと報道されている。
北京五輪終了後、胡錦濤主席は公安当局に対し本格的に捜査に着手するよう指示した。
産経新聞は胡主席が訪日した際、日本人の本件に対する関心の高さに驚いたためだと報じている(読売新聞の2008年読者が選んだ10大ニュース日本編、三菱総研が調査した2008年最も恐いと感じたニュースでそれぞれ1位を獲得している)。
また、日本のマスコミ情報は報道規制の強い中国にも徐々に浸透し、中国でも日本のマスコミのほうが情報量も多く、信憑性が高いと思う知識人や国民が増えているという。
2008年8月28日、中国公安部が日本国在中国大使館に対し現在捜査中である旨通報があった。
またこの頃、中国政府が工場関係者が毒物を混入した旨認めたという報道が一部であったが、日本政府は中国政府から情報提供は受けていないと発表した。
2009年1月17日、中国当局が容疑者とみられる元従業員を数ヶ月に渡って拘束したが、1月19日、中国当局は警察庁に対し事件の進展はないと伝えた。
1月24日には昨2008年に河北省政府が天洋食品の餃子横流しを指示し、それを食べた人が中毒を起こしていたことが分かった。
これは新華社の英語版でも報道され、中国当局が初めて国内事件を報じることとなった。
しかし、2009年3月6日、ギョーザを横流ししたとされる河北鋼鉄集団の王義芳社長は日本メディアの質問に対し「この事実はあなた方が作り出したものだ」と答え、横流しを含む中国国内での事実関係を全面否定、再度争う構えを見せた。
2009年秋には政権交代後、民主党の岡田克也外相は中国側に捜査状況に関する「中間報告」を求めたが、
10月10日に行われた岡田外相と王家瑞対外連絡部長による会談で、王は「刑事事件だ。解決は難しい」と否定的な見解を日本政府側に伝えた。
2010年3月16日、ギョーザに毒物を混入させた容疑で天洋食品の元従業員呂月庭容疑者が拘束された。
日本政府の側には3月26日夜に通報された。
動機は給料・待遇に対する不満や同僚とのトラブルで、個人的な鬱憤を晴らすためだった。
朝日新聞は中国政府による新たな報道規制の通達がなされており、日本での報道との温度差があるとした。
また、中国メディアは今回の件に関し日本の外相が中国に対して感謝の意を示したことは報道しているものの、
以前日本側が抗議内容に対する報道はほとんど確認できず、事件の全容が明らかになりつつある現在も、当局の謝罪は報道からは確認できない。
毒餃子の天洋食品 蒸し器で人間を蒸す 女性従業員死亡
河北省食品輸出入集団天洋食品工場
従業員の死亡事故
2007年(平成19年)、19歳の女性従業員が蒸し器の区画内で死亡した。被害者が私物の携帯電話を取りに入ったことを知らずに、機器を稼動させたことが原因。食品工場では、調理用の区画(部屋)に食品を入れた棚を並べ、区画ごとに加熱調理している。遺族と和解したため、表沙汰にはならなかった。この事件は、「私物は一切持ち込めない」という天洋食品側の主張と矛盾している。
天洋食品製の食品の劇薬等異物混入による事故
2007年12月下旬から2008年1月にかけて、中国の天洋食品が製造、ジェイティフーズが輸入、日本生活協同組合連合会が販売した冷凍餃子を食べた千葉県千葉市、市川市、兵庫県高砂市の3家族計10人が下痢や嘔吐などの中毒症状を訴え、このうち、市川市の女児が一時意識不明の重体になった。両県警が餃子を鑑定したところ、メタミドホスなど有機リン系殺虫剤が検出されたため、ジェイティフーズは同社製造の23品目、約58万点の自主回収を行うと発表。その後の詳細な鑑定の結果、市川市の家族が食べて吐き出した餃子の皮から3580ppm(3.58mg/g)、具から3160ppm(3.16mg/g)のメタミドホスが検出された。2010年3月16日、ギョーザに毒物を混入させた容疑で天洋食品の元従業員呂月庭容疑者が拘束された。日本政府の側には26日夜に通報された。動機は給料・待遇に対する不満や同僚とのトラブルで、個人的な鬱憤を晴らすためだった。