妻の関係先から微量の青酸検出 京都・夫殺害容疑
京都府向日(むこう)市と大阪府貝塚市の男性2人が死亡し、体内から青酸化合物が相次いで検出される事件があり、京都府警は19日、このうち京都の男性を殺害したとして男性の妻の筧(かけひ)千佐子(ちさこ)容疑者(67)を殺人容疑で逮捕し、発表した。捜査関係者によると千佐子容疑者の関係先で見つかった遺留物から、微量の青酸化合物が検出されたという。
青酸化合物、連続不審死か
死亡したのは向日市鶏冠井(かいで)町の無職筧勇夫(いさお)さん(当時75)。千佐子容疑者は「逮捕された理由はよくわかっていますが、私は絶対に殺していません」と否認しているという。以前、交際していた大阪府貝塚市の男性(当時71)も一昨年に死亡しており、京都、大阪両府警は連続不審死事件の疑いを視野に捜査する。
京都府警によると、逮捕容疑は昨年12月28日ごろ、向日市の自宅で何らかの手段により勇夫さんに青酸化合物を摂取させ、同日午後9時ごろに青酸中毒で死亡させた疑い。家入紀幸・捜査1課長は記者会見で「自殺と他殺で捜査するなかで、殺人事件と断定した」と述べたが、容疑を裏付ける証拠については明らかにせず、使われた青酸化合物の入手ルートの解明は「これから」と述べた。
(2014年11月20日 朝日新聞DEGITAL)
京都・夫毒殺 筧千佐子容疑者の一問一答「毒に心当たりない」
京都府警が19日、殺人容疑で逮捕した筧千佐子容疑者は逮捕前、複数回にわたって産経新聞の取材に応じていた。主な一問一答は以下の通り。
--夫を殺害したとの疑いが浮上している
自分と夫(筧勇夫さん)は2人暮らしなので、第1発見者の自分が疑われるのは当然だが、そんなことはしない。私は犯罪者になりたくない。楽しく末永く生きたい。絶対しない
--夫に毒(青酸化合物)は飲ませていないのか
手に入れる方法があったら教えてほしい
--体内から毒が見つかったと聞いたとき、どう思ったか
ショックだった。どうしてこんなことになるのか理解できなかった。亡くなる前、「死にたい」とは言っておらず、思い当たる節もない。24時間、夫の行動を把握していたわけではないし、夫がどこかで毒を手に入れて自分で飲んだのかもしれない
--嘘はついていないのか
ついていない。ずっと疑われ、死にたいと思っているぐらいだ
--京都府警から任意聴取を受けているようだが
毎日呼び出され、どういう経緯で亡くなったのかと(聞かれた)。死体検案書には毒が入っていたと書いてあったが、まったく心当たりがないと答えた
--夫が悩んでいる様子はなかったか
亡くなる前の日の晩、背中がめちゃくちゃ痛いと言っていた。言葉にできない痛さだと
--結婚するとき、財産や学歴、収入などは考慮したのか
結婚はお金の問題ではない。彼の魅力は子供がいなかったこと。なにより気楽だった
--何か言いたいことはないか
自分の運命を恨みたい。旦那が亡くなって捕まるようなことをするはずがない。私、そこまでアホじゃない
(産経新聞 11月19日)
「本気で婚活」夫死亡直前に妻、2人と見合い
京都府向日市で昨年12月、無職筧勇夫さん(当時75歳)が青酸化合物によって殺害された事件で、逮捕された妻の無職・千佐子容疑者(67)が、筧さんの死亡直前に結婚相談所を通じ、少なくとも男性2人と見合いをしていたことが、関係者への取材でわかった。
京都府警は、事件前の千佐子容疑者の行動や目的を詳しく調べている。
関係者によると、千佐子容疑者は昨年11月1日、筧さんとの婚姻届を京都府向日市役所に提出。以前から一人で住んでいた堺市内のマンションから引っ越しはせず、週に2回程度、向日市の筧さん宅に通う生活だったという。
その一方で、千佐子容疑者は結婚直後に大阪市内の結婚相談所を訪問。夫がいることは告げずに「本気で婚活している」などと話し、条件として「年収1000万円以上の高齢者」を挙げていた。
(読売新聞 11月20日)
夫を毒殺疑い、67歳女逮捕=直前に結婚、遺体から「青酸」―他にも不審死・京都
京都府向日市で2013年12月、無職筧勇夫さん=当時(75)=が死亡し遺体から毒物の青酸化合物が検出される事件があり、京都府警は19日、筧さんに毒物を飲ませ殺害した疑いが強まったとして、殺人容疑で、事件直前に結婚した妻の千佐子容疑者(67)を逮捕した。府警は遺産や保険金目当てとみて向日町署に捜査本部を設置、毒物の入手ルートなどの解明を目指す。捜査本部によると、「絶対に殺していません」と容疑を否認しているという。
同容疑者の周辺では他にも、大阪、兵庫、奈良3府県で結婚・交際相手の男性5人が相次ぎ死亡。うち1人から同様に青酸化合物が検出され、大阪府警が調べを進めている。
逮捕容疑は13年12月28日午後9時ごろ、向日市鶏冠井町大極殿の自宅で、筧さんに青酸化合物を摂取させ、青酸中毒により殺害した疑い。
捜査関係者によると、筧さんはインターネットで株取引をしている最中に容体が急変した。鑑定の結果、血中から青酸化合物が検出された。当時一緒にいて119番した同容疑者から任意で事情を聴いたところ、「2階に見に行くと冷たくなっていた。毒物は知らない」などと説明したという。
2人は結婚相談所を通じて知り合い、同年11月1日に婚姻届を出した。同容疑者が約500万円の保険金の受取人となっており、京都府警が婚姻歴などを調べたところ、最初の夫と死別後の06年以降、相談所を介して知り合った元夫2人と交際相手3人が死亡していたことが判明した。
(時事通信 11月19日)
周辺で6人死亡、遺産8億円=千佐子容疑者、結婚相談所介し
京都府向日市の筧勇夫さん=当時(75)=殺害容疑で逮捕された妻の千佐子容疑者(67)周辺では、筧さんを含め、結婚相談所を通じて結婚・交際していた男性ら6人が相次ぎ死亡している。捜査関係者らによると、同容疑者は遺産の大半を相続、総額は約8億円に上るという。
他の5人は、兵庫県西宮市の医薬品卸会社社長=同(69)=▽大阪府松原市の農家の男性=同(75)=▽奈良県内の男性▽大阪府貝塚市の本田正徳さん=同(71)=▽兵庫県伊丹市の元内装業経営=同(75)=。
千佐子容疑者は佐賀県出身。北九州市の高校卒業後、市内の都市銀行支店で働いていた1969年、大阪府貝塚市の男性と知り合い結婚した。同市に移り印刷業を営んでいたが、男性は94年に54歳で病死した。
卸会社社長とは2006年に知り合い再婚。社長は同年8月28日、自宅で亡くなり、検視の結果「脳梗塞」とされた。08年2月ごろには農家の男性と3度目の結婚をしたが、男性は同年5月17日、自宅から救急搬送され死亡。「心筋梗塞」だった。
千佐子容疑者はいずれも遺産を相続し、自宅などの不動産を全て売却。億単位の金を得たとみられるが、社長の場合は親族に民事調停を起こされ一部を返還した。
09年ごろには交際相手の奈良の男性が病死。末期がんだったという。
さらに11年9月ごろ、千佐子容疑者は本田さんと「婚約」したが、本田さんは12年3月9日、泉佐野市でミニバイクを運転中に急死。司法解剖で「致死性不整脈」とされた。同容疑者は「内縁の妻」を名乗り、遺言を盾に親族への遺産分与には応じなかった。
13年9月20日には交際中だった元内装業の男性が死亡。がんを患い、千佐子容疑者と近くのファミリーレストランで食事をした直後に容体が急変した。自宅は死後、同容疑者が売却した。この約2カ月後の同年11月1日、同容疑者は筧さんと4度目の結婚をした。(2014/11/19-10:40)
(時事.com 11月19日)