「主文、被告人を懲役30年に処す」
教え子である9歳から12歳までの小学生女児10人に対し、強姦46件、強姦未遂11件、強制わいせつ13件、児童福祉法違反13件の罪に問われた元教諭に対して下されたのは、有期刑としては最も長い懲役30年の判決だった。
9月14日に広島地裁で行われた判決公判に出廷したのは、広島県三原市の元公立小教諭・森田直樹被告(43)。灰色の半そでシャツに灰色のズボン姿の同被告は、裁判長が主文を読み上げる際に、直立の姿勢を保っていた。緊張のためか、胸が小刻みに拍動しているのが傍聴席からでも見て取れる。
事件が発覚したのは昨年のこと。04年頃に同県三原市内の公立小学校に通っていた元女子児童が、森田被告に体を触られていたことを周囲に打ち明けたことがきっかけだった。通報を受けた広島県警は、08年5月に森田被告を強制わいせつ容疑で逮捕。その後の捜査で、余罪が次から次へと出てきたのである。
「森田被告は羽年に教師になり、逮捕される08年まで、広島県東部の6校の小学校に勤務しましたが、教師になって2年目から犯行に及ぶようになりました。本人の上申書によれば、これまでにのべ27人の児童が被害に遭っています。その中には中学校に進学してからも関係を強制したケースもあります。今回、被告が罪に問われたのは、そのうち01年から06年にかけてで、三原市内の小学校における児童10人に対する犯行です。児童10人に対しての犯行に絞ったのは、それ以上審理件数を増やしても量刑は増えないし、いたずらに裁判を長引かすだけだとの判断があったようです」。(地元司法記者)
これまでの公判で明らかになった犯行内容は、まさに判決公判において裁判長が口にした「鬼畜にも劣る浅ましい蛮行」としか思えないものだ。
「気に入った女児がいると、森田被告はまず膝などに乗せて反応を見ながら、徐々に胸などを触っていました。そして、空き教室や自家用車内などの人目につかない場所で女児を暴行。その際にはあらかじめ、ビデオカメラや女児のはき替え用のパンツ、さらにマット、潤滑用のシェルやローターなどの玩具まで用意していました」(捜査関係者)
たとえ暴行の恐怖で女児が泣き叫んでも、行為は続行された。森田被告は公判中に「嫌がる児童に(性行為を)続けることはなかった」と否定したが、判決公判で裁判長は「信用できない」と断言。
押収した犯行を録画したDVDの中には、嫌がる女児との行為の際に、「今日は入りにくいワ」と森田被告が口にしていたものがあることが明らかになった。さらには、これまでに撮りためてきたビデオには、暴行の様子とともに、周囲の教室での授業の音声や、外で遊ぶ生徒の声なども入っていたことも分かっている。
「勉強を教えない」と脅迫
小学教師として児童の心理操作には長けていたのか、巧妙に女児をコントロールしていたことも判明している。
「森田被告が悪辣なのは、嫌がる児童に対して『それなら勉強を教えない』と脅したり、無視と称して授業中に口をきかなくなったりの嫌がらせを繰り返して、要求を受け入れさせていたことです。その上、犯行後には口止めのため、『もし誰かに話したら勉強もスポーツも教えない』と脆弁を弄したり、『(撮影した)写真をバラまく」と脅したりもしていました」(前出・捜査関係者)
ある女児には、他の子はもっとわいせつなこともしているぞと理不尽に非難し、あたかも被告の求めに応じることがまともなことだと思いこませようともしていた。さらに「やると決めたならわいせつ行為に応じ続けなければならない」などと。“教育”までしていた。
また、複数の女児を同時に呼び出し、森田被告とのわいせつ行為を順番に撮影させることで、相互の羞恥心を軽減させるとともに、同じ秘密を持つ点でも被害を口外し難くさせたと、これまでの公判では指摘されている。
「被害女児の中には、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、現在も通院を続ける者もいます。そうした被害女児の母親の一人は意見陳述において、『娘は今まで(親に被害を)言えなかったのは、嫌われると思った、捨てられると思ったからだと言っています。いまだに怖い夢を見てうなされたり、生きる意味がないとリストカットしたりもしている。娘の笑顔、これまでの生活を返してください』と訴えました」(前出・司法記者)
教師の父親を持つ森田被告は、広島県出身。岡山県の中高一貫校に進学してバレーボール部に入部した際に、バレーボール部の顧問に憧れて教育者になろうと、国立大学の教育学部に入学したと供述している。しかし実際はわいせつ目的だった可能性もある。
「森田被告は大学時代にはすでに少女を性の対象としていました。当時から児童ポルノの写真集を収集していて、実生活でも小学生との性行為を繰り返し、ビデ才撮影で口止めしていたことを供述しています」(広島県警担当記者)
その歪んだ“嗜好”で小学校教師という職を選んだとすれば、まさに確信犯的犯行だ。森田被告は後に中学教師の妻を持ち(裁判中に離婚届が送付)、1児をもうけてからもなお、児童ポルノの収集を続け、勤務先で犯行を重ねていた。
「学校では情報系の授業でパソコンとかを教え、体育部の顧問をやっていましたけど、よく女子に触ったりするから、キモイとか言われて、嫌われていました。事件のことはテレビで知りましたが、同級生の誰かが被害に遭っていたかもしれないと考えると、ショックです」(森田被告が勤務していた小学校の卒業生)
被害に遭った女児のみならす、その家族、さらには同級生などの心にも深い傷を負わせた森田被告。同被告には、判決理由を述べるなかで裁判長が口にした「有期懲役刑を超える刑を選択する余地のない現行法の枠内では、被告人に対しては、その最高刑をもって臨むほかない」
被害者家族らの無期懲役や死刑にしてやりたいとの思いは、伝わっているのだろうか。
(フライデー2009年10月2・9日合併号)
教え子に強姦46件!竹原市立中通小学校の元教諭に対し懲役30年(2009年)
2009年9月 教え子の多数の女児に性的暴行を繰り返していたなどとして、強姦(ごうかん)、同未遂、強制わいせつ、児童福祉法違反の罪に問われた広島県三原市中之町3丁目、広島県の元竹原市立中通小学校教諭、森田直樹被告(43)の判決が広島地裁であり、奥田哲也裁判長は求刑通り懲役30年を言い渡した事件。
森田被告は、2001年11月~06年7月の間、勤務先の小学校舎内や自家用車内で、教え子の女児計10人に対し、性的暴行を加えたり、女児に服を脱がせ、その様子をビデオカメラで撮影したりするなどのわいせつ行為を繰り返したとして、強姦罪46件、強姦未遂罪11件、強制わいせつ罪13、児童福祉法違反罪13件で起訴されていた。
検察側はこれまでの公判で、森田被告は女児に、行為を口外すれば「勉強やスポーツを教えない」「写真をばらまく」などと脅迫したと指摘していた。さらに、行動を不審に思った校長や市教委から指導を受けた後も、犯行を繰り返した点を挙げ、再犯可能性の高さも主張。「教師という立場を最大限利用した前代未聞の犯行」として、各罪の併合罪で最高刑に当たる懲役30年を求刑していた。
公判ではこのほか、森田被告が検察の調べに「教諭になってから27人の女児にわいせつな行為をした」と供述したことや、被害女児の母親の意見陳述で、女児が事件後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断され、リストカットするようになった被害状況も明らかにされた。
森田は妻の実家で妻の両親と小学生の子どもと暮していた。奥さんは中学教師、その両親も教師で義父は小学校校長を務め人権運動にも熱心に参加している。森田はふだんは愛想がよく子煩悩。
森田は授業中、頻繁にデジカメで女児たちの写真を撮影したり、ひいきの女子にはベッタリ。休み時間に膝の上に座らせてチンポを勃起させながら背中からオッパイを覗き込むように話したりしていたという。
「女児はよくひざの上に甘えて乗ってきた。体に手が当たっても嫌がらず、触っていいかと聞くといいと言われた」それが教諭になって2年目からわいせつ行為を始めた。
森田被告は被害女児に「言うとおりにせんかったら、勉強を教えない、無視する」などと口止めし、実際に授業中に無視する態度をとったという。
三原市内の小学校舎で教え子の女児の服を脱がせるなどし その様子をビデオカメラで撮影したり 校舎内で同じ女児に性的暴行を加えようとし 約10分後には 別の女児に性的暴行を加え、その様子を撮影した。
森田被告は被害女児に「ばらしたら写真をばらまく」などと口止めしたり、強姦現場を別の女児2人に撮影させたりしていたようだ。家宅捜索で自宅のパソコンから女児の裸を写した画像を多数押収されている。
10人の女子児童に対する46件の強姦、
11件の強姦未遂、25件の強制わいせつなどの罪、合計95件の罪だけで結審
淡い緑のYシャツにスラックスで出廷した男、
終始うつむいたままで傍聴席に目をやることはなかった
―勤務先の小学校の女児に性的暴行やわいせつな行為を繰り返したとして、
婦女暴行、強制わいせつ両罪などに問われている元公立小学校教諭・森田直樹被告(43歳・広島県三原市 )の
論告求刑公判が広島地裁(奥田哲也裁判長)であった。
検察側は「教師を隠れ蓑にした卑劣な性犯罪者で前代未聞の醜悪な犯行、犯行は既に行われた過去のものと捉えるべきではなく、今後長期間にわたって被害を与え続ける可能性が高いものと見るべきである。
2度としないという被告の供述は信用できない」として、両罪などの加重による上限の懲役30年を求刑した。
一方、弁護側は
「昔あったいじめからくる症状、非社会性で情緒不安定で幼さが見え、アスペルガー症候群やスキソイドパーソナリティ障害の兆候が見られるとはいえ、自己の体験から学ぶ力をもっており、一般の性犯罪とは異なり再犯の可能性も低い。前科もない。
逮捕後、自殺しようと思うものの再起し反省している、今では自身も子の親としてむごいことをしたと受けとめいて社会奉仕に努めたいとも話している。そして、森田被告は小学校卒業後の女児に対しては関係を持たないことを徹底していた。
例外的に中学校になっても関係が続いていた女児もいるが、双方が恋愛関係であったと見られる。
森田被告は現在、巨額な賠償金の支払能力はないが懲戒免職も受け、大きく報道もされて社会的制裁も受けている。
親兄弟も制裁を受けていて、被告の兄が両親に対し今住んでいる場所から引っ越せとの提案を上げたが、
父親は聞き入れず全て受けとめるとし現在も留まっている。
また、今も地元にいる被告の妻子から離婚届が送られてきた。
森田被告の再出発の可能性の芽を摘むことのないようにしていただきたい」とし減刑を求めた。
最後に意見陳述の機会が与えられ森田被告は
「被害者のことを考えず自分のことだけしか考えなかった、してきたことを反省している。
精神鑑定では自分に何が足りなかったか見て頂いた。このようなことが2度とないように誓 い、強い心を持って磨いていきたい。
保護者や被害者にはどんなつらいことをしたのかと,被害者の一生を台無しにしてしまい、申し訳ない。
これからどのように生きていくか、それ で償いをしていきたい」と語った。
判決は9月14日。
論告求刑公判の終了後、囲み取材する報道記者らから検察官に対し「30年は重すぎるので はないか」との質問もあった。それに対し、検察官は「そんなことはない」と一蹴した。
起訴は女児10人に対しての行為のみ
森田被告は平成元年から平成19年の約19年間に、広島県東部を中心とする5つの小学校に勤務していた。
逮捕当時は竹原市立中通小学校に勤務しており、今まで勤務した全ての小学校において教えていた計数十名にも及ぶ女児に対し、
学校内などでわいせつな行為をしていたとされる。
森田被告自身も警察に対し「教諭になってから、27人にわいせつ行為をした」と供述している。
しかし、実際に起訴されたわいせつ行為は、合計で女児10人への計95回分のみとなった。
森田直樹が己の欲望を満たすためだけに行った数々の残虐非道な犯行とはこれまでの調べによると
森田被告は小学校舎内のパソコンルームや自家用車内において、教え子の女児の服を脱がせるなどし、
その様子をビデオカメラで撮影。
ある時には、1人の女児に校舎内で性的暴行を加えるだけでは満足せず、
その約10分後にはまた別の女児に対し性的暴行を加え、性行為の様子をビデオ撮影したこともあったという。
撮影した映像はDVDに保存していた。
ある日、森田被告と女児が校舎内の密室に2人きりでいるところ(暴行中ではないとされている)を小学校長に発見され、
注意されたことがあった。しかし、森田被告はそのわずか12日後にまた犯行を再開したという。
調べによると中には、1人で37回も暴行された女児もいた。
精液を飲ませるなどの強要、えこひいきも気に入った女児を選別し注意深く観察し、膝などに乗せ反応を見ていたという森田被告。
そして女児の反応を見定め、徐々に胸などを触るなどし、できるだけ拒否や嫌がったりしない女児を選りすぐっていったという。
特定の女児に対し、他の児童がいる前でジュースをあげるなどのひいきをすることもあった。
校舎内で犯行する際にはパソコンルームや空き教室などの人目につかない場所を選び女児を暴行したという。
その時には予めカメラ、履き替え用の下着、潤滑油ジェル、性行為用のマットなどを用意し犯行に及んだという。
時には恐怖を感じ泣き叫んだ女児に対しても同様に暴行した。
暴行中には、女児に対し自らを「先生」と呼ばせ、性的玩具も使用されていたことがわかっている。
また学校外においても凶行は繰り返され、遊園地に連れ出し、車中で性的暴行に及ぶこともあった。
森田被告は犯行後に被害女児らに口止め工作もしており、秘密といってプレゼントを渡したり、
誰かにしゃべったらこれから勉強を教えないと言ったり、撮影したビデオをばらまくといった脅迫も行っていた。
また要求に拒絶した女児に対しては実際に授業中に無視する態度も取っていた。
性欲を満たすだけの玩具
他にも要求を拒む女児には、自分から積極的に応じる様に他の女児を引き合いに出したり、
プレゼントで感情を高ぶらして心理的に操るなどいわば“ハーレム”を作り上げていたと検察は指摘した。
今日の論告求刑公判で検察官は
「森田被告は教師という立場を利用し、教え子を自己の性欲を満たすだけの玩具のように扱った」と厳しい口調で語った。
前回までの公判では
「大人の男性が怖くなった。シャッター音を聞くと涙が出る」との被害女児の供述調書や、
「100回死刑になっても許せない」「消えない傷を負わされ、子どもの一生はめちゃくちゃになった。
(服役後に社会復帰するなら)被害者を傷つけた手を切り落として出てこい」「娘はPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断れ、今も怖い夢を見てうなされている。『生きる意味がない』とリストカットもした」「法律上はできないと分かっていても、被告を死刑にしてほしい」とする被害女児の母親らの供述調書が採用されている。
教師の父親とクリーニング屋を営む母親との間に3人兄弟の次男として生まれた森田直樹は
広島県尾道市内で幼少期を過ごす。
公立の小学校時代を振り返り、どんくさいと言われ周囲から浮いた存在だったと森田は弁護士に話したという。
大学在学中、中学教師への道を選択することもできたが小学校の教員を目指すことに。
その理由として本人曰く、中学校より小学校のほうが楽しかったという自身の経験から選択したという。
だが森田直樹は警察に対し「大学在学中から何十人もの小学生と関係を持っていた。飽きたら知り合いに紹介したりし金に換えてた。小学生は純粋なので、デートに誘い出しておいて、連れ去った上で暴行すれば 親にも言わないし、仮にばれたとしてもビデオを使って口止めできたので問題なかった」と矛盾した供述をしている。
国立大学を卒業した森田は、小学校教員に採用され同じく教師(中学校)の妻と結婚、子供を設ける。
ふだんから愛想がよく、息子と公園でキャッチボールをしたり一緒にジョギングをする姿を度々見たと近所の住人は語った。
結婚した妻の両親も校長を務めるなどした元教師だという。
義父は人権運動にも熱心に参加していた人物だったという。
論告求刑公判で、その妻から先日離婚届が送られてきたことが明らかになった。
「先生触らないでください」 教え子らへのセクハラ深刻
学校の教職員による性的な嫌がらせ「スクールセクハラ」が深刻化している。わいせつな行為で懲戒処分や訓告を受けた公立学校の教職員は2013年度、初めて全国で200人を超えた。私立学校は含まれず、「氷山の一角」だ。
数年前、都内の高校に通っていた20代の女性は初めて、その男性教諭に強い口調で抗議した。この教諭は授業中、女性の肩をもんだり頭をなでたり、ほおや足を触ったりしてきた。
その様子は、他の生徒も目撃していたが、教諭は気にしていないように見えた。女性は「これってセクハラじゃないの?」と迷いながら、受験への影響も考え、耐えていたという。
だが、この日は我慢できなかった。教諭が女性の机に近づいてきて、制服のブラウスの中に手を入れ、背中を触ってきたのだ。女性が抗議すると、教諭はこう言った。「俺に見放されたら、お前は終わるぞ」
翌日から、学校に行けなくなった。眠れなくなり、食欲もなく下痢を繰り返した。嘔吐(おうと)が止まらないこともあった。心的外傷後ストレス障害(PTSD)と診断された。
教諭は退職したが、教え方は上手で、人気があったため、女性を責める同級生もいた。「なぜ私が責められるのかと思うと、むなしかった」と女性は言う。卒業後に1浪し、知人のいない遠方の大学に進学した。
両親の後押しで裁判に訴えた後も、苦痛は続いた。教諭は、女性が反抗的な性格だったと非難し、「スキンシップだった」「親しみを込めた表現だった」などと主張。頭以外を触ったことは認めなかった。裁判所は、不快感を与える身体的な接触があったことを前提に和解を勧め、数十万円の支払いで和解した。
今は会社員として働く女性は「誰かが嫌だと言わないと、また同じことが起きると思った。友人を失ったのはつらかったけど、訴えたことで自信につながった」と話す。
性暴力に詳しい打越さく良弁護士は「セクハラを訴えると、被害者が人格攻撃され、品行方正な女性だったかどうかを問われる構図がある」と二次被害を指摘する。「周りの人が説得して、泣き寝入りしているケースも多い」という。
(朝日新聞デジタル 2015年7月22日)