尼崎児童暴行事件
2006年11月
兵庫県尼崎市の小学4年生の男子児童が、同級生の女子児童に対し、性的いじめを加えた事件
ギログから引用
事件が起こったのは昨年11月半ばのこと。
尼崎市の市立小学校に通う4年生の佐藤よしこちゃんは、同級生男児に誘われて同級生の自転車の後ろに乗った。
行き先は告げられなかったが、着いた場所はその同級生の家ではなく、同じ4年生の鈴木健人君の家だった。
3人は、健人君の家でTVゲームに興じた。やがて健人君は立ち上がって、よしこちゃんを隣の部屋に連れて行った。
「ズボンとパンツを脱いで」健人君は、強い口調でよしこちゃんに向かって、そう言った。
恐くなったよしこちゃんは、ズボンとパンツだけ脱いだ。
下半身を触ったりした健人君は、
「絶対、親に言うなよ。言うたら、しばくぞ」と口止めし、よしこちゃんを家に帰したのである。
それから1週間後。
下校時に、よしこちゃんは健人君から石を投げられたりした。
どうやらこれは、「親に言うたら、しばくぞ」という健人君のデモンストレーションだったらしい。
だが、これが逆効果になる。よしこちゃんは、石を投げつけられたことを担任の先生に報告し、さらには親しい女友達に、自分が健人君にされたことを話すのである。
12月8日、保護者面談の時、よしこちゃんから打ち明けられた友だちの母親が、先生にこのことを伝えた。
事件から3週間近く経って、コトが初めて露見したのだ。
「すぐに来てほしい」よしこちゃんの母親、玲子さんが、学校から連絡を受けたのは12月11日午前中のことだった。
玲子さんが言う。
「校長室で、担任の先生から話を聞かされました。娘にそんなことが起きていたとは全然知りませんでした。
うちは主人を早くに亡くし、私一人が子供を育てている母子家庭ですから、よしこも私を悩ませるようなことはしないし、
言いません。あの子がどんなに苦しい思いで黙っていたんだろうと思うと、涙が止まりませんでした・・・」
だが、一方の健人君は、先生の聴取に、「僕はやってない」と主張。
夕方、健人君の父親も呼び出されたが、その場でも、健人君は「行為」を否定した。
父子は一旦帰宅。だが、夜、父親から「息子が認めた」旨の電話が学校に入った。
そして、健人君は先生の問いに、「AVと同じことをしてみたかった」と、その理由を語ったのである。
しかし、市の教育委員会を巻き込んでからの経過は、奇妙なものだった。
翌12日、玲子さんが学校に問い合わせると、学校は市教委へ連絡も入れていなかった。
不審に思った玲子さんは警察に相談する。対応した少年課は、
「うちから児童相談所に連絡してもいいが、(当事者の)歳が歳なので、学校から児童相談所に連絡を入れてもらった方がいい」
とアドバイスした。
この日の夕方、鈴木家と佐藤家は初めて校長室で対面する。玲子さんによれば。
「校長室には、健人君とお母さんしかいなかったので、『なぜお父さんがいないんですか?』と聞いたんです。
するとお母さんが慌てて連絡を取り、お父さんも到着して、話し合いが始まりました。
お父さんは、校長室に入る前に軽く会釈して、『すんません』というだけで反省している様子もありませんでした。
お母さんは、『申し訳ありません』と号泣していました。
健人君本人もお父さんも、なんだか上の空のような感じだったんです。」
玲子さんはその態度に、だんだん腹が立ってくる。
「私は、『主人は死んだけど、もし息子がそういうことしたら、土下座すると思いますよ。
お宅には、娘さんがいないんですか』と聞いたのです。すると『います』と言う。
私が『もし、同じような目に遭ったらどうしますか?』と聞くと、お父さんは『殺します』と言いました。
だったら反省したらどうか、と思うのですが、そういう素振りすら見せません。
私は、『あなたたちと同じ街に住んでいることはイヤです』と言いました。つまり、この街から出て行ってほしい、と。
お母さんは、『すぐは無理ですけど、そうします』と言いました。お父さんは黙ったままでした」
2日後、校長室で再び両家は対面した。ソファに座るなり、健人君の母親が、「今は、これしかできません」と、封筒を差し出した。
「これはなんですか?こんなもの受け取れません」と玲子さんが言うと、いきなりお父さんが、
「出る所に出てください」と言い出した。
「わたしは意味がわからなかったのですが、それは、裁判に訴えてもらい、その結果に従うという意味でした。
こちらはコトを荒立てる気はないのに、先方は『出る所に出てください』と言うばかりでした」
すると立ち会っていた先生が玲子さんに向かって、「お母さんは、どうしたいのですか?」と、言う。
玲子さんは、「(先方に)引っ越してもらいたいのです。もしそれが無理なら、私の方が引っ越します。
ただし、引越し費用は出してください」と、答えた。
「引越しと言っても、具体的に金額がわからないと用意できませんよ」と先生がさらに聞くと、
「では、敷金や礼金、引越し費用などで、150万円もあればお釣りが出るんじゃないですか」と、玲子さん。
だが、健人君の母親は、「うちにできるのはこれが精一杯です。借金だらけで、お金がないんです」と言うばかりだった。
引越しをどうすればいいのか、両家の話し合いは平行線のまま終わった。
だが、2日後にかかって来た一本の電話から事態は急転する。
健人君の母親が、「女同士でお話がしたい」と、玲子さんをファミレスに呼び出すのだ。
「主人があんなことを言ったのは、以前、事故を起こし、ヤクザに脅された経験があるので、またお金を脅し取られるのではないか、と思ったからなんです。申し訳ありません」と、母親は言ったという。
「健人君がこんなことをしたのにも、親の責任がある。子供をいい方向に導いてあげるのは親の役目です。
何とかしてあげて下さい」玲子さんがそう答えると、
「私たちのせいで、引っ越さなければならないなんて、本当に申し訳ありません」と健人君の母親。
そんなやりとりの中、引越し費用を鈴木家が負担することが決まり、お互い「ありがとう」と言いながら別れるのである。
だが、玲子さんは翌々日、「あんまりひどいことを言わない方がいいですよ」と警察から電話を受け、仰天する。
なんと健人君の父親が「妻が恐喝された」と警察に訴えたのである。
玲子さんが言う。
「『(現金の入った封筒を)受け取ったでしょう?』と警察が言うんです。私が何も受け取っていません、と言うと
警察は驚いたようでした。事情を話したら、すぐわかってもらえましたが、私のほうも驚きでした。あまりにひどすぎます」
その日の夕方、玲子さんは校長室で健人君の父親と向かい合った。
「女房は怖くて夜も歩けない、と言っている」と、父親。玲子さんは、あまりの言い草に席を立とうとしたが、
「子どもに手を出したら、ただではすまんぞ」と、再び父親が言い放ったという。
「これを最後に、鈴木家からは何の連絡もありません。娘は、夜中急に泣き出したり、精神的につらい思いをしました。
でも、頼んでもカウンセラーも着けてくれず、引越しもできず、何ヶ月経っても市教委も学校も何もしてくれません。
それどころか市教委に問い合わせると、娘に問題があったというようなことまで言われました」(玲子さん)
2人は小5になり、今も同じ学校に通っている。3月末、これが夕刊紙に掲載され、やっと表沙汰になる。
市教委は、
「女児側にも問題がある、ということを申し上げたのは事実ですが、男児の行為の原因を作ったという意味ではなく、服を脱ぐことに対して、あまりに無意識なのでは、という意味でした。学校から男児が強く『脱げ』と言ったとは報告を受けてなかったものですから・・・。言葉の選び方が悪かったかもしれず、訂正させて頂きたく思います」
また、校長はこう語る。
「細かいニュアンスが市教委に報告しきれていなかった面があるかもしれません。
また女児に対して、お母さんが望むようなケアを行ってこなかったのも反省すべきことかもしれません。
今後の対応はこれを踏まえて検討したいと思います」
マスコミの知るところとなり、慌てて反省の素振りを見せているかのようだ。