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JR車両番号

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「キハ」「モハ」の意味は… JR車両番号を読み解く
日経おとなのOFF


車両の側面や車内などに表示される「片仮名+数字」を目にしたことはないだろうか。
車両の種類や等級など、あらゆる情報が詰まったこの「暗号」の解読法を伝授する。

「モハ113─15」といった文字列を車内などで見たことはないだろうか。一見、暗号のようなこの文字列は車両番号といい、実は1両ごとに付けられた車両の名前だ。冒頭の記号は、その車両が「モハ113形」という型番(車両形式)で、製造番号「15」を意味している。





この「名前」には法則性がある。そしてその法則を知っていれば、実は「名前」だけで、それがどんな車両かが分かってしまう。

ただその法則は、鉄道会社や車両の種類により多くのパターンがあるため、以下ではJRの「電車」における一般的なものを紹介する。また、同じJRでも東日本、西日本などの各社で異なったり、例外があったりするので要注意だ。

例えば1993年の冬以降に登場したJR東日本の車両は、片仮名と数字との間に「E」が入る。JR四国が製造した車両は4桁の数字だけで表すほか、新幹線には全く別の法則が存在する。


「形」と「系」についても解説しておこう。JRの電車の場合、個々の車両を「形」で、その集合体を「系」で表す。「113系」という基本設計を同一とするグループがあって、そのなかに仕様が異なる「モハ113形」や「クハ113形」が存在するという具合だ。



車両番号は7つの要素を内包する



JRと旧国鉄の車両番号は基本的に、片仮名と数字からなる7要素で構成される。それぞれに意味があるため、車両番号を見れば、それがどんな車両かが分かる仕組みだ。ここで紹介する内容は、特に断りがなければJRの、動力に電気モーターを使って自走する「電車」の例である。


1 車両の種類 車両の最も基本的な情報を表す

 1字目の片仮名は、その車両が「輸送機械」としてどの種類なのかを意味する。具体的にはモーターや運転台の有無を表し、場合によって2文字使うこともある。ここで解説するモ、ク、サ、クモがJRの「電車」で使われる記号だ。


【電動車】 モーターのある車両

 モーター関連機器で、床下が混み合っている場合が多い。また、パンタグラフを備える車両はたいていの場合、電動車である。私鉄では「デ」と表記することも。


【制御車】 運転台のある車両

 搭載機器は少なめで、床下に空きスペースが多い。また制御車同士を向かい合わせで連結したとき、通路になる扉があるものを「貫通型」、ないものを「非貫通型」と呼ぶ。


【付随車】 モーターも運転台もない車両

 搭載機器が少なく、床下が空いている場合が多い。「サンライズ」用285系電車の場合は制御車と付随車の床下空きスペースを活用し、2階建て構造にしている。


【制御電動車】 モーターも運転台もある車両

 この場合のみ、2文字で表記する。床下が機器類で混雑しているほか、パンタグラフを備えることもある。


【気動車】 熱機関を使う車両

ディーゼルエンジンなどの熱機関を動力にして自走する車両を、「気動車」と呼ぶ。現在ではディーゼルカーが一般的だが、過去にはガソリンカーや、ガスタービンを用いた試験車もあった。気動車の場合、エンジンなどの動力を搭載する車両は1字目が「キ」になる。さらに、運転台の有無は関係ない。ただ、動力を搭載しない車両は別で、運転台付きは「キク」、運転台無しは「キサ」と2文字で表す。

2 車両の等級 グリーン車・普通車を区別する



 2字目の片仮名は、車両のグレードを表す。国鉄が3等級制だった時代、1等車から順に「イ」「ロ」「ハ」が使われた。それが1960年に2等級制に改められると「イ」が廃止され、1等車が「ロ」、2等車が「ハ」に変化。このときの1等車が現在のグリーン車、2等車が普通車になり、記号も受け継がれた。グリーン、普通両方を備える場合は「ロハ」になる。この記号は電車、気動車、客車で共通。車両に旅客用の座席や寝台がない場合は省略される。


3 車両の設備 ヤ、ル、二など特殊車両もある



3字目の片仮名は、その車両の設備、役割を表す。座席車の場合は省略される。寝台車は「ネ」で、車両等級を表す2字目と合わせて「ロネ」ならA寝台、「ハネ」ならB寝台を意味する。職用車は検測車、訓練車、電源車などが該当。郵便車は、車両自体は存在するものの、郵便輸送業務は現在行っていない。展望車の記号「テ」もあるが、展望構造でも「テ」が付く場合と付かない場合とがある。記号は電車、気動車、客車で共通。



4 電気の方式



JRでは、大きく分けて直流と交流という2種類の電気を使っており、百の位の数字は、そのどちらの電気で動くかを表している。「交直流」とは、両方の電気で走れる車両のこと。


5 用途



十の位の数字は、その車両の使い道を表す。「4」は事業用や非旅客用の車両、「9」は試験車などに使われる。また、国鉄時代はさらに細かく、「5〜7」は急行形、「8」は特急形などと決まっていた。



6 区別

一の位は車種の区別のために使用され、登場順に若い奇数から使っていくのが基本だ。例えば28○系の場合、281系は関空特急「はるか」、283系は紀勢本線の特急「くろしお」、285系は寝台特急「サンライズ」、287系は特急「はしだて」などに使う車両となっている。また車種によっては、基本となる奇数番号のほかに、そこから1を引いた偶数番号を、同じ車種の一部車両に用いる場合がある。


7 製造番号・番台区分

原則として、その車両が製造された順に「1」から割り振られる。しかし、例えば285系電車の場合、モーター搭載、運転台なし、B寝台という車両が2種類ある。そこで2種類とも「モハネ285形」と命名したら区別できないため、「モハネ285形3000番台」と「モハネ285形3200番台」といったように「番台」の概念を用い、区別することがある。この場合はそれぞれ、製造順に「3001」と「3201」から数字が割り振られる。


【車両番号の“暗号”解読に挑戦】


Q サロE657−8
A E657系電車のサロE657形。付随車でグリーン席を備える。交直両用で特急形。製造番号は8。

Q クロハ253−1
A 253系電車のクロハ253形。制御車でグリーン席、普通席を備える。直流用で特急形。製造番号は1。


「コ・ホ・ナ・オ・ス・マ・カ」は「客車」の重量
 自走できない「客車」の場合、1字目は重量を表す記号になる。機関車に牽引されるため、重さを分かりやすくするのが目的だ。22.5t未満が「コ」、22.5t以上が「ホ」、それから5t刻みで「ナ」「オ」「ス」「マ」となり、47.5t以上が「カ」。同様に牽引される「貨車」も車両形式に積載重量の記号が入り、軽い順に「ム・ラ・サ・キ」だ。


{日経おとなのOFF2013年4月号}



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