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Channel: すそ洗い 
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市町村民税の申告

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金に関して
目の前の金のことしかわからない阿呆夫婦なもんで
将来こーゆー請求が来るでーとかそーゆーことに疎い

そんな我が家の一番のダメージが市町村民税の徴収通知書である
源泉徴収票のあれをちゃんと申告しとかないとまとめてどばっと来ちゃうアレ
去年のやつは市役所の手違いでそーゆー申告のアレが来なかったのでほったらかしにしてたら
まとめてどばっと来ちゃって困ったちゃんだったのだ
今までの自分なら市役所に行って逆切れして喚き散らすのであるが
そんなことしても払わされるもんは強制的に払わされるもので
強い相手に弱虫が喧嘩をふっかけるとゆーのは惨め臭いので止めた

マジメな僕はそーゆーまとめてどばっときちゃうショックストレスは回避したいので
早く出してしまいたいとほぼノイローゼ状態で今朝大慌てで浦安市役所(8:30分の受付時間ちょうどに)行き
横のホールの3階に「書き方がわからへん」と書類を持っていった
帰り車の中で「マジメで損することなんてない!」と自分で自分を言い聞かせ正当化する俺が居た
歳を食うと ウジウジくよくよ悩むネタが
そーゆーしょうむないもんに移行していくことを実感させていただく


地方税法第317条の3の2

浦安市の税金
市民税と県民税をあわせて住民税と呼び、前年の所得額に応じて課税される所得割と、所得額に関わらず課税される均等割から算出し、税額が決まります。
個人あてに送付する納税通知書で納めます。
納期は通常6月(1期)・8月(2期)・10月(3期)、翌年1月(4期)の年4回です




厭厭園

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厭な感じの僕なので
厭な感じの事件や読み物や映画が好物です
でもなかなかイイ感じの厭な読み物や映画に当たりません
これはズリネタに近いもんがあんのかなーと思います
いわゆる「当たった時の喜びはとてつもなくデカイが滅多に当たらない」とゆー類

一昨日で片付いた「その女アレックス」もそーゆー目的で読み進めたため
ちょっこし物足りなくって
ムラムラしていたので(このあたりの感覚もズリネタ探しの旅に似てます)
途中で飽きてほっぽらかしにしてた「ねじの回転」を最初っからいてこますことに
なぜなら去年読み進めた内容を全て忘却したからである

これがハズレな可能性も高いので
他のそーゆー厭系も探してアマゾンさんのタダ券を使い注文する



たたり (創元推理文庫) シャーリイ ジャクスン (著),

たたり (創元推理文庫)クリエーター情報なし東京創元社

厭な物語 (文春文庫)

厭な物語 (文春文庫)クリエーター情報なし文藝春秋

もっと厭な物語 (文春文庫)クリエーター情報なし文藝春秋

ユリゴコロ (双葉文庫)クリエーター情報なし双葉社

沼田 まほかる(1948年- )は当たりなんか?ハズレなんか?多分微妙な予想
沼田関連は浦安図書館にありそーなので それでなんとかしましょう

2015年2月19日発売「パパには内緒だよ」まだまだイケてるママのカラダ

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2015年2月19日発売

「パパには内緒だよ」まだまだイケてるママのカラダ





水原さな
堀内秋美
北島玲























SWITCH よっちゃん


Amazon よっちゃん

その後の「スーパーナンペイ事件」

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八王子スーパー強盗殺人事件
1995年7月30日
東京都八王子市
「スーパーナンペイ事件」

1995年7月30日午後9時15分から17分頃、
八王子市大和田町のスーパー「ナンペイ大和田店」の2階事務所に
拳銃を持った何者かに女性従業員3人が射殺された。
被害者は、
パートの女性A(当時47歳)、
アルバイトの女子高生B(当時17歳)
女子高生C(当時16歳)の3人(年齢は、いずれも事件当時)で、
犯行時間は数分間(被害者Aの知人が、迎えに来るまでの間)。
犯人は何も奪わずに逃走している。
金庫を開けようとした形跡はなく、その他の貴金属類にも手をつけておらず、金銭目当てではない可能性もある。
女子高生2人は粘着テープで口を塞がれ、
互いの右手と左手を縛られ、至近距離から後頭部に1発ずつ発砲され、即死の状態だった。
パートの女性は、体は縛られておらず、銃把で殴りつけられ、金庫の前に突き飛ばされ、
女子高生殺害後、左右の額に銃口を押し付けられて殺害された。
使用された拳銃は、フィリピン製のスカイヤーズビンガム




<ナンペイ事件>粘着テープから指紋 10年前死亡の男か

東京都八王子市大和田町4の「スーパーナンペイ大和田店」事務所で1995年7月、女性3人が射殺された事件で、被害者の女子高校生2人が縛られた粘着テープから指紋の一部が採取され、約10年前に60代で病死した日本人の男の指紋とほぼ一致していたことが警視庁への取材で分かった。同庁八王子署捜査本部は、この男が実行犯の可能性もあるとみて、銃の入手が可能だったかなどを調べている。拳銃を使った残忍な手口で世間を震撼させた凶悪事件は、発生から約20年を経て大きく動き出す可能性が出てきた。

同庁幹部によると、被害者の都立館高2年、前田寛美さん(当時16歳)と桜美林高2年、矢吹恵さん(同17歳)は粘着テープで口をふさがれ、2人一緒に手を縛られていた。

警視庁は最近になって、このテープに残っていた指紋について特殊な液体や剥離剤を使ってはがし、採取することに成功した。この指紋を1000万人以上とされる指紋データベースと照合した結果、事件当時、東京都の多摩地域に住み、約10年前に死亡した男の指紋とほぼ一致していたことが分かった。

指紋は被害者やこれまで捜査に当たったすべての捜査員のものとも一致しておらず、犯人が女子高生2人を縛った際に付着した可能性があるという。指紋は鑑定する12点が全て一致すると同一人物と判断される。粘着テープから検出されたのはうち8点で、8点について男の指紋と一致したという。

(毎日新聞 2015年2月18日)

若村真由美ショー開催中「美しき罠」

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「美しき罠」は夜ドラですが昼ドラノリでやんす
くだらないバカバカシーといえばそーなのですが
今夜の若村真由美様には痺れました


ハサミちょきちょきシーン
掃除機ばりばりシーン
苺くちゅつと潰すシーン
爪を歯で噛み噛みシーン
素晴らしい



自分はヒステリーを起こしてる女子を見るのが好きなのです
若村様は朝ドラの「純と愛」ん時もヒステリー起こしまくってはってね
このヒトは今テレビ界一等賞のヒステリー女優様と申してヨイでしょう

気の強い女子の役柄の女優さんは 
よくヒステリーを起こしたり怒り狂ってたりしなければならないんでしょーが
若村さんの場合は そのヒステリーや怒りをエンタテーメントの域にまで高めてるのが素晴らしい



若村真由美ショー 他にも開催されていないかチェックしてみましょう

シューベルト:ピアノソナタ

Prayer Nuts

STICK WORK

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Patrick Dougherty



Organic Art: Houses Woven with Sticks - Visual News







































Stickworkクリエーター情報なしPrinceton Architectural Press

Patrick Dougherty / Regard d'artisteクリエーター情報なしメーカー情報なし

Natural Magic: The Art of Patrick Doughertyクリエーター情報なしJohn Michael Kohler Arts Center

NATURAL ARCHITECTURE NOW―ナチュラル アーキテクチャーの現在―クリエーター情報なしビー・エヌ・エヌ新社

NATURAL ARCHITECTURE ナチュラル アーキテクチャークリエーター情報なしビー・エヌ・エヌ新社






世界中の皮下数ミリ.Kenji Alucky

田山花袋/少女病

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 山手線の朝の七時二十分の上り汽車が、代々木の電車停留場の崖下を地響きさせて通るころ、千駄谷の田畝をてくてくと歩いていく男がある。この男の通らぬことはいかな日にもないので、雨の日には泥濘の深い田畝道に古い長靴を引きずっていくし、風の吹く朝には帽子を阿弥陀にかぶって塵埃を避けるようにして通るし、沿道の家々の人は、遠くからその姿を見知って、もうあの人が通ったから、あなたお役所が遅くなりますなどと春眠いぎたなき主人を揺り起こす軍人の細君もあるくらいだ。
 この男の姿のこの田畝道にあらわれ出したのは、今からふた月ほど前、近郊の地が開けて、新しい家作がかなたの森の角、こなたの丘の上にでき上がって、某少将の邸宅、某会社重役の邸宅などの大きな構えが、武蔵野のなごりの櫟の大並木の間からちらちらと画のように見えるころであったが、その櫟の並木のかなたに、貸家建ての家屋が五、六軒並んであるというから、なんでもそこらに移転して来た人だろうとのもっぱらの評判であった。
 何も人間が通るのに、評判を立てるほどのこともないのだが、淋しい田舎で人珍しいのと、それにこの男の姿がいかにも特色があって、そしてあひるの歩くような変てこな形をするので、なんともいえぬ不調和――その不調和が路傍の人々のひまな眼をひくもととなった。
 年のころ三十七、八、猫背で、獅子鼻で、反歯で、色が浅黒くッて、頬髯が煩うるさそうに顔の半面をおおって、ちょっと見ると恐ろしい容貌、若い女などは昼間出逢であっても気味悪く思うほどだが、それにも似合わず、眼には柔和なやさしいところがあって、絶えず何物をか見て憧あこがれているかのように見えた。足のコンパスは思い切って広く、トットと小きざみに歩くその早さ! 演習に朝出る兵隊さんもこれにはいつも三舎を避けた。
 たいてい洋服で、それもスコッチの毛のすれてなくなったとびいろの古背広、上にはおったインバネスも羊羹色に黄ばんで、右の手には犬の頭のすぐ取れる安ステッキをつき、柄がらにない海老茶色の風呂敷包みをかかえながら、左の手はポッケットに入れている。
 四よツ目め垣がきの外を通りかかると、
「今お出かけだ!」
 と、田舎の角の植木屋の主婦が口の中で言った。
 その植木屋も新建ちの一軒家で、売り物のひょろ松やら樫やらつげやら八ツ手やらがその周囲にだらしなく植え付けられてあるが、その向こうには千駄谷の街道を持っている新開の屋敷町が参差しんしとして連なって、二階のガラス窓には朝日の光がきらきらと輝き渡った。左は角筈つのはずの工場の幾棟、細い煙筒からはもう労働に取りかかった朝の煙がくろく低くなびいている。晴れた空には林を越して電信柱が頭だけ見える。
 男はてくてくと歩いていく。
 田畝を越すと、二間幅の石ころ道、しばがき、かしがき、かなめがき、その絶え間絶え間にガラス障子、冠木門かぶきもん、ガス燈と順序よく並んでいて、庭の松に霜よけの繩なわのまだ取られずについているのも見える。一、二丁行くと千駄谷通りで、毎朝、演習の兵隊が駆け足で通っていくのに邂逅かいこうする。西洋人の大きな洋館、新築の医者の構えの大きな門、駄菓子だがしを売る古い茅葺かやぶきの家、ここまで来ると、もう代々木の停留場の高い線路が見えて、新宿あたりで、ポーと電笛の鳴る音でも耳に入ると、男はその大きな体を先へのめらせて、見栄も何もかまわずに、一散に走るのが例だ。
 今日もそこに来て耳をそばだてたが、電車の来たような気勢けはいもないので、同じ歩調ですたすたと歩いていったが、高い線路に突き当たって曲がる角で、ふと栗梅くりうめの縮緬ちりめんの羽織をぞろりと着た恰好かっこうの好い庇髪ひさしがみの女の後ろ姿を見た。鶯色うぐいすいろのリボン、繻珍しゅちんの鼻緒はなお、おろし立ての白足袋しろたび、それを見ると、もうその胸はなんとなくときめいて、そのくせどうのこうのと言うのでもないが、ただ嬉うれしく、そわそわして、その先へ追い越すのがなんだか惜しいような気がする様子である。男はこの女を既に見知っているので、少なくとも五、六度はその女と同じ電車に乗ったことがある。それどころか、冬の寒い夕暮れ、わざわざ廻まわり路みちをしてその女の家を突き留めたことがある。千駄谷の田畝の西の隅すみで、樫の木で取り囲んだ奥の大きな家、その総領娘であることをよく知っている。眉まゆの美しい、色の白い頬ほおの豊かな、笑う時言うに言われぬ表情をその眉と眼との間にあらわす娘だ。
「もうどうしても二十二、三、学校に通っているのではなし……それは毎朝逢あわぬのでもわかるが、それにしてもどこへ行くのだろう」と思ったが、その思ったのが既に愉快なので、眼の前にちらつく美しい着物の色彩が言い知らず胸をそそる。「もう嫁に行くんだろう?」と続いて思ったが、今度はそれがなんだか侘わびしいような惜しいような気がして、「己おれも今少し若ければ……」と二の矢を継いでたが、「なんだばかばかしい、己は幾歳だ、女房もあれば子供もある」と思い返した。思い返したが、なんとなく悲しい、なんとなく嬉しい。
 代々木の停留場に上る階段のところで、それでも追い越して、衣きぬずれの音、白粉おしろいの香においに胸を躍おどらしたが、今度は振り返りもせず、大足に、しかも駆けるようにして、階段を上った。
 停留場の駅長が赤い回数切符を切って返した。この駅長もその他の駅夫も皆この大男に熟している。せっかちで、あわて者で、早口であるということをも知っている。
 板囲いの待合所に入ろうとして、男はまたその前に兼ねて見知り越しの女学生の立っているのをめざとくも見た。
 肉づきのいい、頬の桃色の、輪郭の丸い、それはかわいい娘だ。はでな縞物しまものに、海老茶の袴はかまをはいて、右手に女持ちの細い蝙蝠傘こうもりがさ、左の手に、紫の風呂敷包みを抱えているが、今日はリボンがいつものと違って白いと男はすぐ思った。
 この娘は自分を忘れはすまい、むろん知ってる! と続いて思った。そして娘の方を見たが、娘は知らぬ顔をして、あっちを向いている。あのくらいのうちは恥ずかしいんだろう、と思うとたまらなくかわいくなったらしい。見ぬようなふりをして幾度となく見る、しきりに見る。――そしてまた眼をそらして、今度は階段のところで追い越した女の後ろ姿に見入った。
 電車の来るのも知らぬというように――。





 この娘は自分を忘れはすまいとこの男が思ったのは、理由のあることで、それにはおもしろいエピソードがあるのだ。この娘とはいつでも同時刻に代々木から電車に乗って、牛込うしごめまで行くので、以前からよくその姿を見知っていたが、それといってあえて口をきいたというのではない。ただ相対して乗っている、よく肥ふとった娘だなアと思う。あの頬の肉の豊かなこと、乳の大きなこと、りっぱな娘だなどと続いて思う。それがたび重なると、笑顔の美しいことも、耳の下に小さい黒子ほくろのあることも、こみ合った電車の吊皮つりかわにすらりとのべた腕うでの白いことも、信濃町しなのまちから同じ学校の女学生とおりおり邂逅してはすっぱに会話を交じゆることも、なにもかもよく知るようになって、どこの娘かしらん? などとその家、その家庭が知りたくなる。
 でもあとをつけるほど気にも入らなかったとみえて、あえてそれを知ろうともしなかったが、ある日のこと、男は例の帽子、例のインバネス、例の背広、例の靴くつで、例の道を例のごとく千駄谷の田畝にかかってくると、ふと前からその肥った娘が、羽織りの上に白い前懸まえかけをだらしなくしめて、半ば解きかけた髪を右の手で押さえながら、友達ともだちらしい娘と何ごとかを語り合いながら歩いてきた。いつも逢う顔に違ったところで逢うと、なんだか他人でないような気がするものだが、男もそう思ったとみえて、もう少しで会釈をするような態度をして、急いだ歩調をはたと留めた。娘もちらとこっちを見て、これも、「あああの人だナ、いつも電車に乗る人だナ」と思ったらしかったが、会釈をするわけもないので、黙ってすれ違ってしまった。男はすれ違いざまに、「今日は学校に行かぬのかしらん? そうか、試験休みか春休みか」と我知らず口に出して言って、五、六間無意識にてくてくと歩いていくと、ふと黒い柔かい美しい春の土に、ちょうど金屏風きんびょうぶに銀で画かいた松の葉のようにそっと落ちているアルミニウムの留針ピン。
 娘のだ!
 いきなり、振り返って、大きな声で、
「もし、もし、もし」
 と連呼した。
 娘はまだ十間ほど行ったばかりだから、むろんこの声は耳に入ったのであるが、今すれ違った大男に声をかけられるとは思わぬので、振り返りもせずに、友達の娘と肩を並べて静かに語りながら歩いていく。朝日が美しく野の農夫の鋤すきの刃に光る。
「もし、もし、もし」
 と男は韻を押ふんだように再び叫んだ。
 で、娘も振り返る。見るとその男は両手を高く挙あげて、こっちを向いておもしろい恰好かっこうをしている。ふと、気がついて、頭に手をやると、留針ピンがない。はっと思って、「あら、私、嫌いやよ、留針を落としてよ」と友達に言うでもなく言って、そのまま、ばたばたとかけ出した。
 男は手を挙げたまま、そのアルミニウムの留針を持って待っている。娘はいきせき駆けてくる。やがてそばに近寄った。
「どうもありがとう……」
 と、娘は恥ずかしそうに顔を赧あかくして、礼を言った。四角の輪廓をした大きな顔は、さも嬉しそうににこにこと笑って、娘の白い美しい手にその留針を渡した。
「どうもありがとうございました」
 と、再びていねいに娘は礼を述べて、そして踵きびすをめぐらした。
 男は嬉しくてしかたがない。愉快でたまらない。これであの娘、己おれの顔を見覚えたナ……と思う。これから電車で邂逅かいこうしても、あの人が私の留針を拾ってくれた人だと思うに相違ない。もし己が年が若くって、娘が今少し別嬪べっぴんで、それでこういう幕を演ずると、おもしろい小説ができるんだなどと、とりとめもないことを種々に考える。聯想れんそうは聯想を生んで、その身のいたずらに青年時代を浪費してしまったことや、恋人で娶めとった細君の老いてしまったことや、子供の多いことや、自分の生活の荒涼としていることや、時勢におくれて将来に発達の見込みのないことや、いろいろなことが乱れた糸のように縺もつれ合って、こんがらがって、ほとんど際限がない。ふと、その勤めている某雑誌社のむずかしい編集長へんしゅうちょうの顔が空想の中にありありと浮かんだ。と、急に空想を捨てて路を急ぎ出した。





 この男はどこから来るかと言うと、千駄谷の田畝を越して、櫟の並木の向こうを通って、新建ちのりっぱな邸宅の門をつらねている間を抜けて、牛の鳴き声の聞こえる牧場、樫かしの大樹に連なっている小径こみち――その向こうをだらだらと下った丘陵おかの蔭かげの一軒家、毎朝かれはそこから出てくるので、丈たけの低い要垣かなめがきを周囲に取りまわして、三間くらいと思われる家の構造つくり、床の低いのと屋根の低いのを見ても、貸家建ての粗雑ぞんざいな普請ふしんであることがわかる。小さな門を中に入らなくとも、路みちから庭や座敷がすっかり見えて、篠竹しのだけの五、六本生はえている下に、沈丁花じんちょうげの小さいのが二、三株咲いているが、そのそばには鉢植はちうえの花ものが五つ六つだらしなく並べられてある。細君らしい二十五、六の女がかいがいしく襷掛たすきがけになって働いていると、四歳くらいの男の児こと六歳くらいの女の児とが、座敷の次の間の縁側の日当たりの好いところに出て、しきりに何ごとをか言って遊んでいる。
 家の南側に、釣瓶つるべを伏せた井戸があるが、十時ころになると、天気さえよければ、細君はそこに盥たらいを持ち出して、しきりに洗濯せんたくをやる。着物を洗う水の音がざぶざぶとのどかに聞こえて、隣の白蓮びゃくれんの美しく春の日に光るのが、なんとも言えぬ平和な趣をあたりに展ひろげる。細君はなるほどもう色は衰えているが、娘盛りにはこれでも十人並み以上であったろうと思われる。やや旧派の束髪に結って、ふっくりとした前髪を取ってあるが、着物は木綿の縞物しまものを着て、海老茶色えびちゃいろの帯の末端すえが地について、帯揚げのところが、洗濯の手を動かすたびにかすかに揺うごく。しばらくすると、末の男の児が、かアちゃんかアちゃんと遠くから呼んできて、そばに来ると、いきなり懐ふところの乳を探った。まアお待ちよと言ったが、なかなか言うことを聞きそうにもないので、洗濯の手を前垂まえだれでそそくさと拭ふいて、前の縁側に腰をかけて、子供を抱いてやった。そこへ総領の女の児も来て立っている。
 客間兼帯の書斎は六畳で、ガラスの嵌はまった小さい西洋書箱ほんばこが西の壁につけて置かれてあって、栗くりの木の机がそれと反対の側に据すえられてある。床の間には春蘭しゅんらんの鉢はちが置かれて、幅物は偽物にせものの文晃ぶんちょうの山水だ。春の日が室へやの中までさし込むので、実に暖かい、気持ちが好い。机の上には二、三の雑誌、硯箱すずりばこは能代のしろ塗りの黄いろい木地の木目が出ているもの、そしてそこに社の原稿紙らしい紙が春風に吹かれている。
 この主人公は名を杉田古城といって言うまでもなく文学者。若いころには、相応に名も出て、二、三の作品はずいぶん喝采かっさいされたこともある。いや、三十七歳の今日、こうしてつまらぬ雑誌社の社員になって、毎日毎日通っていって、つまらぬ雑誌の校正までして、平凡に文壇の地平線以下に沈没してしまおうとはみずからも思わなかったであろうし、人も思わなかった。けれどこうなったのには原因がある。この男は昔からそうだが、どうも若い女に憧れるという悪い癖がある。若い美しい女を見ると、平生は割合に鋭い観察眼もすっかり権威を失ってしまう。若い時分、盛んにいわゆる少女小説を書いて、一時はずいぶん青年を魅せしめたものだが、観察も思想もないあくがれ小説がそういつまで人に飽きられずにいることができよう。ついにはこの男と少女ということが文壇の笑い草の種となって、書く小説も文章も皆笑い声の中に没却されてしまった。それに、その容貌ようぼうが前にも言ったとおり、このうえもなく蛮ばんカラなので、いよいよそれが好いコントラストをなして、あの顔で、どうしてああだろう、打ち見たところは、いかな猛獣とでも闘たたかうというような風采と体格とを持っているのに……。これも造化の戯れの一つであろうという評判であった。
 ある時、友人間でその噂うわさがあった時、一人は言った。
「どうも不思議だ。一種の病気かもしれんよ。先生のはただ、あくがれるというばかりなのだからね。美しいと思う、ただそれだけなのだ。我々なら、そういう時には、すぐ本能の力が首を出してきて、ただ、あくがれるくらいではどうしても満足ができんがね」
「そうとも、生理的に、どこか陥落ロストしているんじゃないかしらん」
 と言ったものがある。
「生理的と言うよりも性質じゃないかしらん」
「いや、僕はそうは思わん。先生、若い時分、あまりにほしいままなことをしたんじゃないかと思うね」
「ほしいままとは?」
「言わずともわかるじゃないか……。ひとりであまり身を傷つけたのさ。その習慣が長く続くと、生理的に、ある方面がロストしてしまって、肉と霊とがしっくり合わんそうだ」
「ばかな……」
 と笑ったものがある。
「だッて、子供ができるじゃないか」
 と誰かが言った。
「それは子供はできるさ……」と前の男は受けて、「僕は医者に聞いたんだが、その結果はいろいろあるそうだ。はげしいのは、生殖の途みちが絶たれてしまうそうだが、中には先生のようになるのもあるということだ。よく例があるって……僕にいろいろ教えてくれたよ。僕はきっとそうだと思う。僕の鑑定は誤らんさ」
「僕は性質だと思うがね」
「いや、病気ですよ、少し海岸にでも行っていい空気でも吸って、節慾しなければいかんと思う」
「だって、あまりおかしい、それも十八、九とか二十二、三とかなら、そういうこともあるかもしれんが、細君があって、子供が二人まであって、そして年は三十八にもなろうというんじゃないか。君の言うことは生理学万能で、どうも断定すぎるよ」
「いや、それは説明ができる。十八、九でなければそういうことはあるまいと言うけれど、それはいくらもある。先生、きっと今でもやっているに相違ない。若い時、ああいうふうで、むやみに恋愛神聖論者を気どって、口ではきれいなことを言っていても、本能が承知しないから、ついみずから傷つけて快を取るというようなことになる。そしてそれが習慣になると、病的になって、本能の充分の働きをすることができなくなる。先生のはきっとそれだ。つまり、前にも言ったが、肉と霊とがしっくり調和することができんのだよ。それにしてもおもしろいじゃないか、健全をもってみずからも任じ、人も許していたものが、今では不健全も不健全、デカダンの標本になったのは、これというのも本能をないがしろにしたからだ。君たちは僕が本能万能説を抱いだいているのをいつも攻撃するけれど、実際、人間は本能がたいせつだよ。本能に従わん奴やつは生存しておられんさ」と滔々とうとうとして弁じた。





 電車は代々木を出た。
 春の朝は心地ここちが好い。日がうらうらと照り渡って、空気はめずらしくくっきりと透すき徹とおっている。富士の美しく霞かすんだ下に大きい櫟林くぬぎばやしが黒く並んで、千駄谷せんだがやの凹地くぼちに新築の家屋の参差しんしとして連なっているのが走馬燈のように早く行き過ぎる。けれどこの無言の自然よりも美しい少女の姿の方が好いので、男は前に相対した二人の娘の顔と姿とにほとんど魂を打ち込んでいた。けれど無言の自然を見るよりも活いきた人間を眺ながめるのは困難なもので、あまりしげしげ見て、悟られてはという気があるので、わきを見ているような顔をして、そして電光いなずまのように早く鋭くながし眼を遣つかう。誰だか言った、電車で女を見るのは正面ではあまりまばゆくっていけない、そうかと言って、あまり離れてもきわだって人に怪しまれる恐れがある、七分くらいに斜はすに対して座を占めるのが一番便利だと。男は少女にあくがれるのが病であるほどであるから、むろん、このくらいの秘訣ひけつは人に教わるまでもなく、自然にその呼吸を自覚していて、いつでもその便利な機会を攫つかむことを過あやまらない。
 年上の方の娘の眼の表情がいかにも美しい。星――天上の星もこれに比べたならその光を失うであろうと思われた。縮緬ちりめんのすらりとした膝ひざのあたりから、華奢きゃしゃな藤色の裾すそ、白足袋しろたびをつまだてた三枚襲さんまいがさねの雪駄せった、ことに色の白い襟首えりくびから、あのむっちりと胸が高くなっているあたりが美しい乳房ちぶさだと思うと、総身が掻かきむしられるような気がする。一人の肥ふとった方の娘は懐ふところからノートブックを出して、しきりにそれを読み始めた。
 すぐ千駄谷駅に来た。
 かれの知りおる限りにおいては、ここから、少なくとも三人の少女が乗るのが例だ。けれど今日は、どうしたのか、時刻が後おくれたのか早いのか、見知っている三人の一人だも乗らぬ。その代わりに、それは不器量ぶきりょうな、二目とは見られぬような若い女が乗った。この男は若い女なら、たいていな醜い顔にも、眼が好いとか、鼻が好いとか、色が白いとか、襟首が美しいとか、膝の肥り具合が好いとか、何かしらの美を発見して、それを見て楽しむのであるが、今乗った女は、さがしても、発見されるような美は一か所も持っておらなかった。反歯そっぱ、ちぢれ毛、色黒、見ただけでも不愉快なのが、いきなりかれの隣に来て座を取った。
 信濃町しなのまちの停留場は、割合に乗る少女の少ないところで、かつて一度すばらしく美しい、華族の令嬢かと思われるような少女と膝を並べて牛込まで乗った記憶があるばかり、その後、今一度どうかして逢あいたいもの、見たいものと願っているけれど、今日までついぞかれの望は遂げられなかった。電車は紳士やら軍人やら商人やら学生やらを多く載のせて、そして飛竜のごとく駛はしり出した。
 トンネルを出て、電車の速力がやや緩ゆるくなったころから、かれはしきりに首を停車場の待合所の方に注いでいたが、ふと見馴みなれたリボンの色を見得たとみえて、その顔は晴れ晴れしく輝いて胸は躍おどった。四ツ谷からお茶の水の高等女学校に通う十八歳くらいの少女、身装みなりもきれいに、ことにあでやかな容色きりょう、美しいといってこれほど美しい娘は東京にもたくさんはあるまいと思われる。丈せいはすらりとしているし、眼は鈴を張ったようにぱっちりしているし、口は緊しまって肉は痩やせず肥ふとらず、晴れ晴れした顔には常に紅が漲みなぎっている。今日はあいにく乗客が多いので、そのまま扉のそばに立ったが、「こみ合いますから前の方へ詰めてください」と車掌の言葉に余儀なくされて、男のすぐ前のところに来て、下げ皮に白い腕を延べた。男は立って代わってやりたいとは思わぬではないが、そうするとその白い腕が見られぬばかりではなく、上から見おろすのは、いかにも不便なので、そのまま席を立とうともしなかった。
 こみ合った電車の中の美しい娘、これほどかれに趣味深くうれしく感ぜられるものはないので、今までにも既に幾度となくその嬉うれしさを経験した。柔かい着物が触る。えならぬ香水のかおりがする。温あたたかい肉の触感が言うに言われぬ思いをそそる。ことに、女の髪の匂においというものは、一種のはげしい望みを男に起こさせるもので、それがなんとも名状せられぬ愉快をかれに与えるのであった。
 市谷いちがや、牛込うしごめ、飯田町と早く過ぎた。代々木から乗った娘は二人とも牛込でおりた。電車は新陳代謝して、ますます混雑を極きわめる。それにもかかわらず、かれは魂を失った人のように、前の美しい顔にのみあくがれ渡っている。
 やがてお茶の水に着く。





 この男の勤めている雑誌社は、神田かんだの錦町にしきちょうで、青年社という、正則英語学校のすぐ次の通りで、街道に面したガラス戸の前には、新刊の書籍の看板が五つ六つも並べられてあって、戸を開あけて中に入ると、雑誌書籍のらちもなく取り散らされた室の帳場には社主のむずかしい顔が控えている。編集室へんしゅうしつは奥の二階で、十畳の一室、西と南とが塞ふさがっているので、陰気なことおびただしい。編集員の机が五脚ほど並べられてあるが、かれの机はその最も壁に近い暗いところで、雨の降る日などは、ランプがほしいくらいである。それに、電話がすぐそばにあるので、間断ひっきりなしに鳴ってくる電鈴が実に煩うるさい。先生、お茶の水から外濠線そとぼりせんに乗り換えて錦町三丁目の角かどまで来ておりると、楽しかった空想はすっかり覚さめてしまったような侘わびしい気がして、編集長とその陰気な机とがすぐ眼に浮かぶ。今日も一日苦しまなければならぬかナアと思う。生活というものはつらいものだとすぐあとを続ける。と、この世も何もないような厭な気になって、街道の塵埃じんあいが黄いろく眼の前に舞う。校正の穴埋めの厭なこと、雑誌の編集の無意味なることがありありと頭に浮かんでくる。ほとんど留め度がない。そればかりならまだいいが、半ば覚めてまだ覚め切らない電車の美しい影が、その侘しい黄いろい塵埃の間におぼつかなく見えて、それがなんだかこう自分の唯一の楽しみを破壊してしまうように思われるので、いよいよつらい。
 編集長がまた皮肉な男で、人を冷やかすことをなんとも思わぬ。骨折って美文でも書くと、杉田君、またおのろけが出ましたねと突っ込む。なんぞというと、少女を持ち出して笑われる。で、おりおりはむっとして、己おれは子供じゃない、三十七だ、人をばかにするにも程ほどがあると憤慨する。けれどそれはすぐ消えてしまうので、懲りることもなく、艶つやっぽい歌を詠よみ、新体詩を作る。
 すなわちかれの快楽というのは電車の中の美しい姿と、美文新体詩を作ることで、社にいる間は、用事さえないと、原稿紙を延のべて、一生懸命に美しい文を書いている。少女に関する感想の多いのはむろんのことだ。
 その日は校正が多いので、先生一人それに忙殺されたが、午後二時ころ、少し片づいたので一息吐ついていると、
「杉田君」
 と編集長が呼んだ。
「え?」
 とそっちを向くと、
「君の近作を読みましたよ」と言って、笑っている。
「そうですか」
「あいかわらず、美しいねえ、どうしてああきれいに書けるだろう。実際、君を好男子と思うのは無理はないよ。なんとかいう記者は、君の大きな体格を見て、その予想外なのに驚いたというからね」
「そうですかナ」
と、杉田はしかたなしに笑う。
「少女万歳ですな!」
 と編集員の一人が相槌あいづちを打って冷やかした。
 杉田はむっとしたが、くだらん奴やつを相手にしてもと思って、他方わきを向いてしまった。実に癪しゃくにさわる、三十七の己おれを冷やかす気が知れぬと思った。
 薄暗い陰気な室はどう考えてみても侘しさに耐えかねて巻き煙草たばこを吸うと、青い紫の煙がすうと長く靡なびく。見つめていると、代々木の娘、女学生、四谷の美しい姿などが、ごっちゃになって、縺もつれ合って、それが一人の姿のように思われる。ばかばかしいと思わぬではないが、しかし愉快でないこともない様子だ。
 午後三時過ぎ、退出時刻が近くなると、家のことを思う。妻のことを思う。つまらんな、年を老とってしまったとつくづく慨嘆する。若い青年時代をくだらなく過ごして、今になって後悔したとてなんの役にたつ、ほんとうにつまらんなアと繰り返す。若い時に、なぜはげしい恋をしなかった? なぜ充分に肉のかおりをも嗅かがなかった? 今時分思ったとて、なんの反響がある? もう三十七だ。こう思うと、気がいらいらして、髪の毛をむしりたくなる。
 社のガラス戸を開あけて戸外おもてに出る。終日の労働で頭脳あたまはすっかり労つかれて、なんだか脳天が痛いような気がする。西風に舞い上がる黄いろい塵埃じんあい、侘しい、侘しい。なぜか今日はことさらに侘しくつらい。いくら美しい少女の髪の香に憧れたからって、もう自分らが恋をする時代ではない。また恋をしたいたッて、美しい鳥を誘う羽翼はねをもう持っておらない。と思うと、もう生きている価値ねうちがない、死んだ方が好い、死んだ方が好い、死んだ方が好い、とかれは大きな体格を運びながら考えた。
 顔色かおつきが悪い。眼の濁っているのはその心の暗いことを示している。妻や子供や平和な家庭のことを念頭に置かぬではないが、そんなことはもう非常に縁故が遠いように思われる。死んだ方が好い? 死んだら、妻や子はどうする? この念はもうかすかになって、反響を与えぬほどその心は神経的に陥落ロストしてしまった。寂しさ、寂しさ、寂しさ、この寂しさを救ってくれるものはないか、美しい姿の唯一つでいいから、白い腕にこの身を巻いてくれるものはないか。そうしたら、きっと復活する。希望、奮闘、勉励、必ずそこに生命を発見する。この濁った血が新しくなれると思う。けれどこの男は実際それによって、新しい勇気を恢復かいふくすることができるかどうかはもちろん疑問だ。
 外濠そとぼりの電車が来たのでかれは乗った。敏捷びんしょうな眼はすぐ美しい着物の色を求めたが、あいにくそれにはかれの願いを満足させるようなものは乗っておらなかった。けれど電車に乗ったということだけで心が落ちついて、これからが――家に帰るまでが、自分の極楽境のように、気がゆったりとなる。路側みちばたのさまざまの商店やら招牌かんばんやらが走馬燈のように眼の前を通るが、それがさまざまの美しい記憶を思い起こさせるので好い心地ここちがするのであった。
 お茶の水から甲武線に乗り換えると、おりからの博覧会で電車はほとんど満員、それを無理に車掌のいる所に割り込んで、とにかく右の扉の外に立って、しっかりと真鍮しんちゅうの丸棒を攫つかんだ。ふと車中を見たかれははッとして驚いた。そのガラス窓を隔ててすぐそこに、信濃町しなのまちで同乗した、今一度ぜひ逢いたい、見たいと願っていた美しい令嬢が、中折れ帽や角帽やインバネスにほとんど圧おしつけられるようになって、ちょうど烏からすの群れに取り巻かれた鳩はとといったようなふうになって乗っている。
 美しい眼、美しい手、美しい髪、どうして俗悪なこの世の中に、こんなきれいな娘がいるかとすぐ思った。誰の細君になるのだろう、誰の腕に巻かれるのであろうと思うと、たまらなく口惜しく情けなくなってその結婚の日はいつだか知らぬが、その日は呪のろうべき日だと思った。白い襟首えりくび、黒い髪、鶯茶うぐいすちゃのリボン、白魚のようなきれいな指、宝石入りの金の指輪――乗客が混こみ合っているのとガラス越しになっているのとを都合のよいことにして、かれは心ゆくまでその美しい姿に魂を打ち込んでしまった。
 水道橋、飯田町、乗客はいよいよ多い。牛込うしごめに来ると、ほとんど車台の外に押し出されそうになった。かれは真鍮の棒につかまって、しかも眼を令嬢の姿から離さず、うっとりとしてみずからわれを忘れるというふうであったが、市谷に来た時、また五、六の乗客があったので、押しつけて押しかえしてはいるけれど、ややともすると、身が車外に突き出されそうになる。電線のうなりが遠くから聞こえてきて、なんとなくあたりが騒々しい。ピイと発車の笛が鳴って、車台が一、二間ほど出て、急にまたその速力が早められた時、どうした機会はずみか少なくとも横にいた乗客の二、三が中心を失って倒れかかってきたためでもあろうが、令嬢の美にうっとりとしていたかれの手が真鍮の棒から離れたと同時に、その大きな体はみごとにとんぼがえりを打って、なんのことはない大きな毬まりのように、ころころと線路の上に転ころがり落ちた。危あぶないと車掌が絶叫したのも遅おそし早し、上りの電車が運悪く地を撼うごかしてやってきたので、たちまちその黒い大きい一塊物は、あなやという間に、三、四間ずるずると引ひき摺ずられて、紅あかい血が一線ひとすじ長くレールを染めた。
 非常警笛が空気を劈つんざいてけたたましく鳴った。

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内田百/山東京伝

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私は早く飯が食い度くて堪らない。けれども、山東京伝は、食えとも何とも云ってくれない。食えとか何とか云うのが、厭なのかも知れない。そうだと、無闇に遠慮しているのは、却って悪いかも知れないから、食おうかと思った。けれども、そうでないのかも解らない、今丁度食えと云おうとして居るところかも知れない、すると私が無遠慮に箸をつけるのも、亦よくない。

・・・・・・・・・


「只今、まことに小ひさな方が、玄関から上がってまいりました」
「何ッ」と山東京伝が非常に愕いた変な声を出した。聞いてる方がびっくりして飛び上がる様な声であつた。私はまた同じ事を云った。
「只今、まことに小ひさな方が、玄関から上がってまいりました。式台に、かう両手をついて・・・」
「そらッ」と山東京伝が、いきなり、駆け出した。


・・・・・・


すると山東京伝が急に後ろを向いた。その顔が鬼のように恐ろしい。
「気をつけろ。こんな人間がどこにある」さういって山東京伝はにじりよって私を睨んだ。
「これや、山蟻ぢゃないか」

・・・・・・・

「士農工商、云ったって駄目だ。君の様に頼り甲斐のない人はない」
私はうろたへて「誠にもうしわけ御座いまぜん」と云った。
「いや、あやまってすむ事ではない」と山東京伝が云った。

・・・・・

「出て行け」と云ったきり山東京伝は黙ってしまつた。もう、なんにも云はない。私は、たうとう、山東京伝の所を追ひ出された。

・・・・・

解つた。蟻は丸薬をぬすみに来たのである。それだから、山東京伝が、あんなにうろたへて、怒ったのだろう。けれども、山東京伝が、どうしてそんなに丸薬を気にするんだか、それはわからない。

(「山東京伝」内田百)


内田百けん (ちくま日本文学 1)クリエーター情報なし筑摩書房

沼田まほかる/テンガロンハット

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アマゾンさんで1円+送料で入手でける厭な話の本を4冊ほど注文していたが
届くまで我慢がでけんので通勤中の通り道(ここ大事)で入手でける厭な話の本を購入
流行作家・沼田まほかるの短編「痺れる」
現代流行作家とゆーだけあって読みやすくサクサク進む
それほど後味が悪く不穏感も薄めでありますが
今までの読み物と何か違う感じがありヨイです
グレーゾーンなんですな
世の中 黒か白かはっきりしないグレイの方が多いやないですか
嫌いなヒトか好きなヒトか 厭な人間関係かヨイ人間関係か ここいらへんがグレーなもんが多い
快と不快 SとMもこのグレーゾーンが多いと思います
そこいらへんの按配を書かれてある読み物ってあんまし無かった気がするんです

「林檎曼荼羅」
「レイピスト」
「ヤモリ」
「沼毛虫」
とザクサク進めて

「テンガロンハット」に辿り着いた時、一気にお気に入りになりました
この「テンガロンハット」とゆーお話にズッキュンと胸を突き刺されました
実に 実に味わい深い(不快)イイお話
モチロン快とも不快ともいえずグレーゾーンで
厭とも良ともいえないグレ~ゾーンの人間関係
SともMとも云えない関係性
ただ 姉のイッちゃんはドSである。山田さんの顔に糊のスプレーぶちかますなんて よく思いついたもんだなと感動さえしました
ツーちゃんのどっちつかずの性格もヨイ
決着はオープニング同様 洗濯バサミに絡まった頭髪とゆーので着くのも見事だ

親切なおじさん(山田さん)→居ついて帰らない闖入者(山田さん)になり→ドSな姉の登場と山田さんの対決
→戦いに敗れた山田さん(鬘にテンガロンハット使用)が黄昏てる姿
このスリリングなジェットコースター的展開とカタルシス
名作である

この「テンガロンハット」は小説宝石2007年6月号に発表されました

痺れる (光文社文庫)クリエーター情報なし光文社


沼田 まほかる(1948年- )大阪府出身、奈良県在住

九月が永遠に続けば(2005年1月 新潮社 / 2008年2月 新潮文庫)
彼女がその名を知らない鳥たち(2006年10月 幻冬舎 / 2009年10月 幻冬舎文庫)
猫鳴り(2007年8月 双葉社 / 2010年9月 双葉文庫)
アミダサマ(2009年7月 新潮社 / 2011年11月 新潮文庫)
痺れる(2010年4月 光文社 / 2012年8月 光文社文庫)
収録作品:林檎曼陀羅 / レイピスト / ヤモリ / 沼毛虫 / テンガロンハット / TAKO / 普通じゃない / クモキリソウ / エトワール
ユリゴコロ(2011年4月 双葉社 / 2014年1月 双葉文庫)

1972年2月19日~2月28日 あさま山荘事件

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長野県北佐久郡軽井沢町
浅間山荘


あさま山荘事件
1972年2月19日~2月28日
坂口弘(1946年11月12日 - )
坂東國男(1947年1月10日 - )
吉野雅邦(1948年3月27日 - )
加藤倫教(1952年 - )
加藤元久(1956年 - )


連合赤軍兵士 41年目の証言

30 - 連合赤軍 浅間山荘事件 - 1972

The Red Army / PFLP: Declaration of World War by Masao Adachi & Kôji Wakamatsu 1971 / 70''


若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 2008年

「わたしは持久戦には強いので頑張ります」永田洋子死刑囚死亡 2011年02月06日

連合赤軍1971年~1972年

山岳ベース事件 1971年~1972年


森 恒夫(1944年12月6日 - 1973年1月1日)

永田 洋子(1945年2月8日 - 2011年2月5日)




山岳ベース事件 被害者
   メンバー           学籍/出身地      旧所属    ..最終的総括事由            死因
尾崎充男(22歳男性)    東京水産大学/岡山   京浜安保   ちり紙とってと言った          凍死
進藤隆三郎(21歳男性)  ..秋田高卒/福島      赤軍派    ..金欲と女性関係            内臓破裂
小嶋和子(22歳女性)    市邨学園短大/愛知   京浜安保   加藤とチュー               凍死
加藤能敬(22歳男性)    和光大学/愛知      京浜安保   小嶋とチュー              ..内臓破裂
遠山美枝子(25歳女性)  ..明治大学/横浜      赤軍派    ..化粧と長髪             凍死 or 衰弱死
行方正時(25歳男性)    岡山大学/滋賀      赤軍派    ..会議ですっきりしたと言った      撲殺
寺岡恒一(24歳男性)    横浜国立大学/東京   京浜安保   森と永田の悪口を言った     皆で刺した後で絞殺
山崎順(21歳男性)     ..早稲田大学/東京    ..赤軍派    .寺岡を殺さなかった      皆で刺した後で絞殺
山本順一(28歳男性)   北九州大学卒/愛知  京浜安保  妻に対してえらそう  暴行後の自害未遂による出血多量?
大槻節子(23歳女性)    横浜国立大学/横須賀 ..京浜安保   敗北という単語を多用        内臓破裂
金子みちよ(24歳女性)   横浜国立大学/横浜   京浜安保   森に色目を使った        全身打撲(妊娠8ヶ月)
山田孝(27歳男性)     ..京都大学/東京      赤軍派    ..薪拾いが遅い              凍死

東京タワー六本木

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六本木に行く用事があったので
せっかくなので神谷町で降りて
東京タワーの前でキネンシャシンを撮り





徒歩にて六本木に向かい
映画館の裏の路地裏でもキネンシャシンを撮る





ますます凄い安藤サクラ「百円の恋」

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安藤サクラシネマ
「百円の恋」

レイジングブルの逆回しとゆーか 安藤サクラはほぼロバート・デニーロである
やさぐれた引き篭もり32歳処女のダルダルにたるんだ肉体からキレッキレ女子ボクサーのカラダに変身もしている
かといってロッキーのノリではなく 世の中そんなに甘くはないが頑張ってみればちぃとはエエことはあんでと
そして安藤サクラは徹底的にぶっさいくな顔面が丸出しである
本当に 呆れ返るぐらいにぶっさいく 目は離れてるわ腫れぼったいわロンパリっぽいわウーパールーパ系の魚顔
でも なんか強烈に魅力的な顔面 凄いイイ顔面 なんかズルいわ この顔面ゆーぐらいに羨ましい顔面の持ち主であります

浮き沈みダイエット「レイジング・ブル」

どこでロッキーに変身するんかなーと見てたら
新井浩文が豆腐屋の女子の方に乗り換えてから
ビッチビチのキレっキレに変身
多分レイジングブルのデニーロ(そこまで強力で徹底的に大変身ではないが)方式で
デブデブに太らせて撮影 そこから一気に絞りあげて撮影の方式かと思われます

このデブデブ期もキレキレ期もどちらの安藤サクラも抜群にヨイ

デブデブ期はどれぐらいにイイかっつーと「その夜の侍」で「三日月」を歌ってる安藤サクラぐらいにヨイ



背中の肉ね 尻の上の腰肉が素晴らしいデブっぷり
ダルダルですが 引き篭もり内弁慶のダメダメ駄目娘ちゃんなので
初社会生活のコンビニバイトでは 蚊の鳴くよーな声でしか他人と喋れへんし
同僚のずっと喋り続けるウザい親父に処女奪われるし
同棲しかけた新井君に「おまえ調子乗んなよ」的なことをサラっと言われてるし



そしてハイライトの安藤サクラキレキレ期は初めて見る
これぞカタルシスである 
安藤サクラとゆー女優さんはだいたいダラシナイカラダのダラシナイブサイクの腐女子役しか見たことがない自分は
ビックリ仰天である
ここまで変化をつけれるゆーんなら もーデニーロの称号を与えてもエエんではないかと思う
ここまででける女優様は初めて見たのです



とにかくキレキレの練習風景と
レイジングブルの控え室からリングに向かう伝説の1カットを彷彿させるアレを見事に再現している
ただし 登場曲はコンビニのあの💢イラッとくるぐらいにひつっこく鳴ってる百円ソング
これはお世辞ゼロでカッコエエ
自分は このあたりでけっこう泣いてしまった
たいがい日本映画は思わせぶりでゴングで終わるんだが
ここからまた現実は全然ロッキーのようにいくわけはないでーでボッコボコにやられる安藤サクラ
あんなにカッチョエエ練習風景とは打って変わって キレッキレに練習しても殴り合いには あんまし関係ないでと
とにかく弱い弱い ボッコボコ
ちぃちだけは 撮影のトリックとズルで1回だけ左を当てさせるカットはあるが
そんな明日のジョーみたいに世の中はいかず パッコーンとまた殴り返される始末
倒れた 目の前では新井君が帰ってるし

でもね救いはあります 体育館の前でちゃんと新井君が待ってくれてるし
ロッキーとエイドリアーンみたいな感動はないが それがまたヨイ
「オマエ酷い顔」と「飲みに行こ」と手を引っ張られ ぐしょぐしょに泣くサクラ
当然 観客もそちらこちらで泣いてるやろ 特に女子な
今まで1回も勝ったことなかったから 今までイイことなんて何ひとつなかったから
勝ちたかってんやろー
その後の結局負け組の二人を見たいね
またデブデブの最低な奴に戻るんか
32歳はまだまだ若いもんね

DVD化される時は特典映像でトレーニングシーンが入ってんのんかな?
テレビでNHKの特番で 安藤サクラの肉体改造ドキュメントなんかやってくれへんのかな?

キネマ旬報 2014年11月下旬号 No.1676クリエーター情報なしキネマ旬報社

安藤サクラと坂田利夫と117クーペ「0.5ミリ」

推しますアレクシス・アダムス

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細君が親戚の葬儀に行っていて留守
そんな夜はチャンスなので、
寝床のiPadでひたすらズリネタを探す
x-videoでAlexis abamsを大量に発見したもんで チンコ握りしめ
ひたすら視聴してたらバイトから次男が帰ってきて
着替えをとりにきたので中断







脳裏に焼き付いたAlexis adamsでもコケんで
そんなAlexis推しです
アレクシス・アダムスと読んで大丈夫なんかな?







Alexis Adams (@AlexXxisAdams) | Twitter
Porn Starlet. Best New Girl AVN Nom 2014.
Best new starlet XBIZ Nom 2014. Playboy Cyber 2012 18+ ONLY.







@Matrixmodels









































































































撃たれて死ぬ夢を見たん

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見た夢は速攻で忘れるので記録しとこ
中国の強盗の人たちに銃で撃たれて死ぬ夢を見た
船に乗ってて 他の乗客の方々と
我が家では僕と長男
妻と次男は助かる
徐々にカラダが冷たくなるので毛布をかけてもらう
妻に何度もありがとうと言ってる
カラダが冷えてくるので長男を心配して「毛布かけたほうがエエで」とゆー
死ぬ予定のなかった煩いババアが死にそうなので
自分は生き延びるんじゃないかと思う
やっぱりカラダが冷えてくるところで目が覚めて
あー夢や 生きててよかったーと
かなり得した感じで嬉しい
生きていく喜びを感じる朝でした
多分この夢は時間とともに全部忘れてしまうのんが残念

I'm The Fly

マチルダ・メイ in スペース・バンパイヤ

ニッキー・チャームが・・・

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